省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

ARTの編集プレビュー画面と出力が一致しない場合の対策 (Windows)

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 先日、ART 上で画像編集作業を行っていたところ、編集画面のプレビューと出力結果が一致しないという現象に気づきました。因みに編集作業は Windows 上で行っていました。

 まず、プレビュー画面のキャプチャをお見せします。

編集プレビュー画面

 ところが、出力してみると...

出力画面

 変なノイズが乗ってしまいます。出力のファイル形式の問題かと思って色々試しましたが、原因がつかめません。

 結局分かったのは出力プロファイルの問題でした。最初に出力した時、デフォルトの sRGB (ICC V2) を使っていました。ところがカラータブの下のカラーマネジメント設定から、出力プロファイルを以下のように sRGB (ICC V4) に変えてみると...

カラーマネジメント設定

sRGB (ICC V4) 出力結果

 編集画面通りの結果に。

 どうやら、sRGB (ICC V2) のカラープロファイルの精度が低いようです。やはりバージョンが古いほうが精度が低いのかと思いましたが...

 ふと思って、そういえば Elle Stone 氏がカラープロファイルを公開していたと思いだして、Elle Stone 氏の sRGB のカラープロファイルをダウンロードしてみました。

 ダウンロード元のついては、以下の記事をご参照ください。

 

yasuo-ssi.hatenablog.com

 そこで、ICC V2 と ICC V4 のカラープロファイルをダウンロードして出力してみると...

Elle Stone 氏作 ICC V2 の sRGB カラープロファイルを適用した結果

Elle Stone 氏作のカラープロファイルでは V4 はもちろん V2 でも問題ありません。要は Microsoft が提供しているカラープロファイルの精度が低いという問題のようでした。

Elle 氏のカラープロファイルを出力プロファイルとして指定

 さらに確認してみると、オプションに No ICM: sRGB出力 というものがあります。実はこれがデフォルトだったようです。これは OS 内蔵のカラープロファイルを使わず、ART 内蔵のプロファイルで sRGB 出力する、というもののようで、これだと問題がありません。どうやら以前 Adobe RGB で出力した後、戻すために Windows 標準のカラープロファイルに変更していたようです。

 という訳で、Windows を使っていて、sRGB で出力する方は、Microsoft 標準のsRGB カラープロファイルではなく、No ICM ([OS 内蔵の] イメージカラーマネジメントを使わない) を選ぶか、あるいは Elle Stone 氏作の sRGB カラープロファイルをお使いになることを強くお勧めします。

 E. Stone 氏の作成した標準的な sRGB の TRC を持ったカラープロファイルのファイル名は、

sRGB-elle-V2-srgbtrc.icc
sRGB-elle-V4-srgbtrc.icc

になります。他の sRGB 用カラープロファイルは、TRC のカーブが標準とは異なります。

 なお、Windows におけるカラープロファイルのデフォルトの置き場は下記です。

 因みに、Linux および Mac OS においても、OS 標準の sRGB (ICC V2) プロファイルを使って出力してみましたが、このような問題は発生しませんでした。

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 なお、この問題は、出力プロファイルの問題以外にも、モニターのカラープロファイルの不適合によって起こる可能性もあります。