先日、ART 上で画像編集作業を行っていたところ、編集画面のプレビューと出力結果が一致しないという現象に気づきました。因みに編集作業は Windows 上で行っていました。
まず、プレビュー画面のキャプチャをお見せします。
ところが、出力してみると...
変なノイズが乗ってしまいます。出力のファイル形式の問題かと思って色々試しましたが、原因がつかめません。
結局分かったのは出力プロファイルの問題でした。最初に出力した時、デフォルトの sRGB (ICC V2) を使っていました。ところがカラータブの下のカラーマネジメント設定から、出力プロファイルを以下のように sRGB (ICC V4) に変えてみると...
編集画面通りの結果に。
どうやら、sRGB (ICC V2) のカラープロファイルの精度が低いようです。やはりバージョンが古いほうが精度が低いのかと思いましたが...
ふと思って、そういえば Elle Stone 氏がカラープロファイルを公開していたと思いだして、Elle Stone 氏の sRGB のカラープロファイルをダウンロードしてみました。
ダウンロード元のついては、以下の記事をご参照ください。
そこで、ICC V2 と ICC V4 のカラープロファイルをダウンロードして出力してみると...
Elle Stone 氏作のカラープロファイルでは V4 はもちろん V2 でも問題ありません。要は Microsoft が提供しているカラープロファイルの精度が低いという問題のようでした。
さらに確認してみると、オプションに No ICM: sRGB出力 というものがあります。実はこれがデフォルトだったようです。これは OS 内蔵のカラープロファイルを使わず、ART 内蔵のプロファイルで sRGB 出力する、というもののようで、これだと問題がありません。どうやら以前 Adobe RGB で出力した後、戻すために Windows 標準のカラープロファイルに変更していたようです。
という訳で、Windows を使っていて、sRGB で出力する方は、Microsoft 標準のsRGB カラープロファイルではなく、No ICM ([OS 内蔵の] イメージカラーマネジメントを使わない) を選ぶか、あるいは Elle Stone 氏作の sRGB カラープロファイルをお使いになることを強くお勧めします。
E. Stone 氏の作成した標準的な sRGB の TRC を持ったカラープロファイルのファイル名は、
sRGB-elle-V2-srgbtrc.icc
sRGB-elle-V4-srgbtrc.icc
になります。他の sRGB 用カラープロファイルは、TRC のカーブが標準とは異なります。
なお、Windows におけるカラープロファイルのデフォルトの置き場は下記です。
因みに、Linux および Mac OS においても、OS 標準の sRGB (ICC V2) プロファイルを使って出力してみましたが、このような問題は発生しませんでした。
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なお、この問題は、出力プロファイルの問題以外にも、モニターのカラープロファイルの不適合によって起こる可能性もあります。