すでに何度か指摘していますが、ImageJにおいては一切カラーマネジメントが行われていません。RGBのデータは、それが8bitなら、単に、RGBがそれぞれ0-255の値を持つデータとして扱われるだけで、それがsRGBのRGBなのかAdobe RGBなのか、REC2020のRGBなのか、あるいはそこで使われているTRC (トーン再現カーブ) が何なのか、基本的には一切頓着しません。暗黙の前提として、sRGB もしくは scRGB (sRGBの色空間をさらに拡張した色空間規格。0.0~1.0色空間の範囲はsRGBと同じだが、さらにマイナス及び1.0を超える範囲を許容することで、sRGBでは表現できなかった範囲を包含する。TRCはリニア。主に生物学等の研究用に使用される)を前提としてはいるようですが。従って入力時には埋め込まれているiccプロファイルは無視されますし、出力時にはiccプロファイルは付加されません。
画像表示に関しては、ImageJは関与せず、ユーザがデータに合わせてモニタを調整する、ということが期待されていると思います。
従って、Adobe RGB (あるいは他のsRGB以外の色空間) の画像をImageJで加工して、さらにGIMPで読み込むということを行う場合、次のような注意が必要です。ImageJに読み込んだところでiccプロファイルが失われます。従って、GIMPの場合、iccプロファイルのない画像はデフォルトでsRGBだと解釈して読み込みますので、読み込んだ後に Adobe RGBのプロファイルを割り当て直すという作業が必要です。その際に、RGB値は変換することなく、プロファイルのみ割り当て直す必要があります。
また、オンライン上にImageJに関して、次のような質問が出ていました。
github.com この質問者は、リニアなTRCを使った、REC2020の画像をImageJに読み込んだところ、変なトーンで表示されるがどうしたら良いか、と尋ねています。
結局アドバイスとしては Color Transformer 2 plugin と ij-plugin_toolkit を導入して、Color Transformer 2 plugin で REC2020 → l*a*b* に変換し、さらに ij-plugin toolkit を使って l*a*b* → RGB に変換してはと提案しています。ただ、それであれば、GIMPやRawTherapeeのようなアプリケーションであらかじめsRGBもしくはscRGBに変換したほうが早いかと思います。
なお、Color Transformer 2 plugin では、ImageJでカラーマネジメントが行われていないので、ユーザがオリジナルのRGBデータの色空間をあらかじめ調べておいて、手動で選択するようになっています。
なお、GIMPやRawTherappe, ARTで、scRGBを作るには、リニアなiccプロファイルを取得することが必要ですが、これに関しては以下の記事で紹介しておきました。
yasuo-ssi.hatenablog.com この中では、Elle Stone氏が作成したリニアプロファイルをダウンロードして使うのが最も簡単だと思います。scRGBには、この中の、sRGB-elle-V4-g10.icc もしくは sRGB-elle-V2-g10.icc を使います。デジタルカメラからscRGBの画像を作るには、RAWで撮影しておいて、RawTherapeeもしくはARTを使い、上記プロファイルを使って現像・出力するのが良いと思います。darktableの場合は、出力プロファイルを変更する手続きは以下に説明があります。
ただ、ImageJは以前示したように、Windows上ではsRGBの画像のみ、本来のトーンで表示可能であり、scRGBだと暗くなってしまいます。Mac OSの場合そのあたりOS上で調節できるのかどうか、分かりません (→ できません)。
----------------
[関連記事]