ちょっと必要があって、韓国の携帯電話における e-SIM の使い勝手について調べたので、メモを残しておきます。
韓国の携帯電話用語
まず、話を理解するために韓国の携帯電話の専門用語を知る必要がありますので、それについてメモします。
유심 (USIM): 物理 SIM
이심 (e-SIM): e-SIM (ソフトウェア的 SIM)
자급제 단말기 (自給制端末機): 電話会社を通さず、電話機メーカーから直接購入した電話機
유심 기변 (USIM 機変): 物理 SIM を他の電話機に載せ替えて機種変更をすること
대포폰 (大砲 Phone): 偽名電話機
알뜰폰 (アルトゥル Phone): 格安電話。日本と同様大手電話会社 (KT, SKT, LG U+ の三社) から回線を借りて、大手より安い値段で携帯電話サービスを提供。알뜰は節約の意味。
韓国における e-SIM 普及状況
韓国政府は、2022年9月に、各電話会社に対し e-SIM の導入を認可しました。しかし、それから4年近く経過した現在、韓国では e-SIM があまり普及していません。
韓国における物理 SIM、e-SIM の長所と短所
必ずしも韓国特有ではなく、日本でも当てはまる部分もありますが、一応列挙しておきます。
■ 物理 SIM の長所
・機種変更したときに SIM を物理的に載せ替えればすぐ使える
・高い互換性
韓国ではまだ e-SIM 非対応のスマホが市場に出回っている
・問題が起こったとき素早い対応が可能
自分のスマホが故障しても、予備機や誰かにスマホを借りて SIM を載せ替えれば対応可能
■ 物理 SIM の短所
・紛失や破損の可能性
・物理 SIM 購入費用の発生
概ね SIM 1枚 7000 ウォン程度
・SIM トレイを引き出すピン保管の必要
ピンをなくすと、SIM トレイが引き出せないので SIM 交換、載せ替え時に困難に陥る
・海外旅行先で現地の SIM を使うときに不便
物理 SIM を交換しなければならないので、旅行先 SIM を使っているあいだ、自国に戻ったときに使う SIM を保管して置かなければならないが、それを紛失して困る可能性がある。
■ e-SIM の長所
・デュアル SIM 機能を使って、1台の電話機で2つの電話番号が使える
・電話回線の開通や電話会社の変更が簡単にできる
QR コードをスキャンするだけで、すぐ開通、変更ができる
・海外ローミング費用を節約
海外旅行先で、観光客向け e-SIM をいれれば国内電話会社の高価なローミングサービスを使わなくてすむ
・紛失、破損を心配しなくて良い
■ e-SIM の短所
・機器互換性が物理 SIM より低い
・初期登録時の困難
QR コードダウンロードなどの手続きが難しいと感じる人にはむしろ不便
・機種変更時の不便
機種変更時の登録手続きが面倒。また電話会社によっては QR コードダウンロードの回数を制限している場合がある。
・機種変更時に QR コードダウンロードに費用が発生
現在機種変更時の QR コードダウンロードに 2750 ウォンを支払う必要があるが、物理 SIM は費用なく載せ替えれば良いだけなのに対し、不合理。
・同一端末機における複数のIMEI の契約名義が同一である制限がかかる
韓国では、偽名電話防止の為、同一端末における IMEI の名義が一致していないと、電話登録を認めないという制限をかけている。
・自給制端末機、海外購入端末機や格安SIM では、機種変更時にトラブルが生じやすい
上の IMEI の規制と関連するが、大手電話会社を通して購入すると IMEI 名義の本人確認が済んでいる状態で引き渡されるので、機種変更時のトラブルが少ないが、それ以外の場合は、本人確認の手続きが複雑だったり、確認に時間がかかったりする。
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以上まとめてみると、e-SIM は機種変更時にかなり不便が発生する可能性があり、韓国人は頻繁に機種変更する傾向にあるので、この点かなり不便を感じる可能性が高いです。
また、韓国では IMEI の名義規制がかなり厳しくなっていますが、これは現在携帯電話が、クレジットカード決済承認手段としてほぼ必須となっているため、規制が厳しくなるのはやむを得ない部分があります。韓国では、日本に比べると、携帯電話さえあれば何でもできてしまう便利さがありますが、その代償とも言えます。
なお、日本在住者が、韓国に観光に出かけて、現地の海外観光客向け e-SIM を使う限りでは特に問題になりません。この IMEI 規制の対象にならないからです。その代わり、海外からの観光客向け e-SIM を購入する際はパスポートの提示等が必要になります。ただし、韓国で3ヶ月以上の定住ビザを取得した (韓国側から見た) 外国人の方か、もしくは在外韓国人の方が、韓国の携帯電話会社と定住者向け回線を契約しようとすると、同様の問題点に直面する可能性があります。
この場合、日本の回線と韓国の回線 (旅行者向けではない、定住者向け回線) を同時に使いたい場合は、代理店に直接身分証等を持参して手続きを行えば、設定を行えます。しかし、自力で QR コードをダウンロードして設定するのは、おそらく IMEI の自動認証で問題が生じる可能性が高いので、困難に直面する可能性が高いと思われます。
さらに、iPhone の場合、日本の電話をデフォルトにしてあれば、韓国から日本に帰ってきて、日本の電話回線を受信した時に、自動的に日本に最適化した回線設定に切り替える機能があります。これは海外で旅行用 e-SIM を使っていて、日本に帰国した場合でも同様です。
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参考サイト
全南日報 「『e-SIMが物理SIMより不便だ?』韓国だけに起こっているおかしな逆行」2026.5.11 記事
USIM, e-SIM 違い、メリット、デメリット 2025年完璧整理! どれが自分に合うか? (個人ブログ)
e-SIM 使用記、USIM... USIM... 死んでも USIM (個人ブログ)