では、Bチャンネル再建法補正ツール簡易バージョンによる補正事例をお見せしていきます。今回は比較的容易に補正できるケースです。オリジナルは以下の画像です。何度か写真補正のサンプルとして使っている飯田線の流電・クモハ52003の写真です。
この画像の場合、黄変部分が一部分にとどまっています。但し、上端部分で若干のBチャンネル情報抜け(青紫色の変色)を起こしているようです。そこで補正範囲を下記のように設定します。
このケースの場合、サンプリング範囲をこの補正範囲の x 方向で前方向(補正範囲の左側)にしか設定できません。ただ、補正範囲は空を含んだ比較的明るい部分が多い一方でサンプリング範囲は、ホームの屋根の暗い部分を設定せざるをえません。補正範囲とサンプリング範囲の画像パターンの違いが比較的大きいです。
とりあえずGチャンネルの最大混入率を100%、Bチャンネルの値の引き上げはなし、そして、Y方向のゾーン分割数を25 (デフォルト) で補正に掛けてみました。すると次のようになりました。16bit 7500 x 5000程度の画像サイズですが、補正領域は比較的狭いため、私の環境で3分強程度の計算時間となりました。
補正領域と、サンプリング領域の画像パターンが異なるため、心配していましたが、思っていたほどにはムラが出ませんでした。それでもまだ微妙にムラがあります。しかし、あとはフォトレタッチソフトのグローバル補正で十分にごまかせそうです。というわけで、フリーのRaw現像ソフトを使ってグローバルに追加補正を掛けてみました。まずは darktableです。
露光、ホワイトバランスを調整し、最後にフィルミックRGBでコントラストを調整してみました。
またRawTherapeeでも行ってみました。
こちらは露光補正+ホワイトバランスの自動補正+トーンカーブによるコントラスト補正に、フィルムシミュレーション (Fuji Provia) を掛けてみました。
いずれも当時の全検出たてのつややかな質感が蘇っています。補正ツールだけで補正が完了するわけではありませんが、補正に使った時間は、計算時間を除けば10分もかかりません。かなり楽に補正できます。フルバージョンのBチャンネル再建法補正過程だと、手順に慣れれば 10~15分程度の補正時間で行けますが、こちらは手順に慣れなくても10分足らずの補正時間で行ける、という感じでしょうか。