省型旧型国電の残影を求めて

戦前型旧型国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

黄変の激しい画像の補正 - 新・黄変ネガカラー写真補正過程例示(4)

f:id:yasuo_ssi:20210310145522j:plain 今まで、コニカ-ミノルタの純正スキャナドライバを使って取り込んだ画像をサンプルとしてお示ししてきましたが、今回ドライバを Vuescan に変えて取り込んだ画像です。

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オリジナル
2,493,619色

 Vuescanの特徴は、コニミノの純正ドライバとは異なり、黄変部分があっても、褪色の復元にチェックを入れたとしても、全体をブルーに補正したりしない点です。従って黄変の影響がない、少ない場所は青被りをするということはありません。しかし黄変部分は真っ黄色、というかどす黒い、ならぬ「どす黄色い」状態のままです。おそらくこれが、変に補正を掛けずネガカラー反転したままの、本来の黄変状態に近いのではないかと思います。ただ、褪色復元を指定することで、ひょっとするとかえって黄変が強調されている可能性も否定はできません。ともあれ、黄変はかなり濃いですが、周辺の情報抜けも始まっておらず、黄変部分も空の一部に限定されていますので、変褪色による画像の損傷自体は、中程度と判断できます。

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Bチャンネル再建法適用後
1,244,793色

 これにBチャンネル再建法を適用した結果が上図です。色数はやはり半減以下となっています(色数はファイルをadobeRGBに統一して測定しています)。それと黄変跡の空にピンク色が出ています。これはオリジナルの黄変が純粋な黄色ではなく、ややオレンジ色に傾いていたためだと思われます (ひょっとするとこれはVuescanの補正の癖の可能性もあります)。Bチャンネル再建法はBチャンネルしか補正しないので、黄変部分の R 成分は補正されないまま残るからです。

 これに対する追加補正方針に関しては、まず、これは基本ですが、G-B値の接近に対する対応として、G 透過マスクを作成し、植物の緑を補正する、および、全体に植物の多い画像ですので、グローバルにもBチャンネルに対して、トーンカーブ調整を使って、緩やかなS字カーブを掛けて、植物のG-B値を離反させることが考えられます。次に、空の部分の補正残りのピンクの部分を補正するためのマスクを作成し、その部分のR値を下げるということが考えられます。以上の3点がこの画像の補正方針になります。なお実際には試行錯誤もありましたが、採用しなかった補正については省略します。

 まず元黄変部分の補正ですが、元々黄変部分でしたので、汎用色チャンネルマスク作成ツールを使い、以下のY透過マスクを作成してみました。

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Y透過マスク
B明度範囲151-255 B閾値+40の画像を加工

 

 これに対し補正を加えます。

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Y透過マスクを掛けたレイヤーに対する補正

 まず赤を引き下げたところ、結構黄色味が出てきました。あれだけ「どす黄色い」黄変でしたので、取り切れなかったようです。そこで青も大きく値を引き上げます。ただそれでも微妙にピンクが取り切れません。

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上記補正の結果

 そこで空の範囲を覆う透過バイナリーマスクを作成しました。Y透過マスクを作成したときにできるバイナリー画像をマスクに加工します。

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空透過バイナリーマス
B明度範囲151-255バイナリー画像を加工

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上のマスクをつけたレイヤーに対する補正

 バイナリーマスクをつけたレイヤーに対しRを引き下げますが、それだけでは取り切れない部分があります。一部マゼンタが含まれているようです。そこでGも上位を中心に多少引き上げます。まずまずになりました。

 次に植物の緑を改善するG透過マスクです。

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G透過マスク
G明度範囲0-151 / G閾値+40

 このマスクは編集せずに使います。

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植物の緑補正レイヤー補正中

 さらにグローバルに、Bチャンネルに対しS字トーンカーブで補正を加えます。

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グローバル補正中

 ここまでの補正で以下のようになりました。重ねるときは下から、画像面積の広いものから狭い順に重ねて最後に画像を合成します。つまり、下からグローバル補正レイヤー、G補正レイヤー、空バイナリーマスクレイヤー、空Y補正マスクレイヤーの順です。また合成した段階でスキャン時の埃も、Rethynsesizerを使って除去します。

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レイヤー編集模式図

 

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GIMP補正終了時

1,536,868色

 Bチャンネル再建法適用後より、30万色ほど増えています。あとはRawTherapeeに補正を引き継ぎます。

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RawTherapeeホワイトバランス調整

 まず露出を自動調整し、次にホワイトバランスを調整します。自動調整したものは若干赤に寄る傾向でしたので、若干寒いほうに寄せました。さらにキラキラした新緑を強調するために、L*a*b*調整で、輝度のトーンカーブを中域を中心にやや上昇させます。こうすると新緑の部分が浮き上がってきます。

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L*a*b調整における輝度トーンカーブ補正

 さらに、空の青さの増強と、新緑の強調のため、RGBカーブでBに対し再びS字調整を掛け、さらに、カラートーン調整 (Labの補正領域) で若干黄緑方向に色相を移動しました。また霞除去もわずかに掛けています。新緑の黄緑感を強調して新緑の色が映えるように補正してみます。

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RGBカーブ & カラートーン調整

 こうして得られた結果が下記の図です。

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終結
1,873,020色

 補正結果の色数は187万色以上(adobeRGBベース)と、オリジナルほどではありませんが、だいぶ回復しました。 熊笹の葉が、山の初夏の光に輝いている雰囲気もしっかり再現されています。比較のためオリジナルを再度下に掲示します。

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オリジナル
2,493,619色

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 なお、RawTherapeeによる輝度に対するトーンカーブ調整の際、よく使われるS字補正を掛けてしまうと、以下のように新緑が沈み込んで冴えなくなってしまいます。この場合はコントラストを上げないほうが良いケースです。

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輝度トーンカーブ補正でS字カーブを掛けた場合

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 またdarktableでも調整をやってみました。

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darktable調整済み
1,666,252色

 露出自動補正後、ホワイトバランスを自動調整し、若干色温度を冷たい方向に移動させ、そのあとフィルミックRGBの自動調整を掛けました。RawTherapeeは、新緑を強調するような補正を掛けましたが、こちらは自動補正を掛けたせいか、キラキラした感じの少ない、落ち着いた無難な調整となっています。よりナチュラルかもしれません。RawTherapeeで輝度トーンカーブをいじらないのとほぼ同等な結果のようです。

 

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