省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

室内写真のカラー差 - Expeed3 / 6 / Adobe Standard 処理比較

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 さて、青空と、植物の緑の処理で、NX Studioのピクチャーコントロールや、Adobe Standardとの差が結構見られましたが、他の画像ではどうでしょう。以下食堂の室内を写した何の変哲もないスナップ写真ですが、こちらで処理の違いを見てみます。

 なお、Luminar3は、微妙な差があっても、基本的にAdobe Standardと同傾向ですので、今回から比較は省略します。

 カメラはD3200、つまりExpeed3相当です。

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室内写真 左: Expeed6相当 / 右: 3相当

 NX StudioでExpeed6相当と3相当の違いです。空や植物の緑とは異なりほぼ色相に変化はなく、違いは明るさのみです。Expeed6だと影の部分が明るめに写るということは以前に指摘しましたが、ここでもそれが当てはまります。

 

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室内写真 左: Adobe Standard / 右: Expeed3相当

 さらに、NX StudioでExpeed3相当の処理と、RawTherapeeを使って Adobe Standard DCPプロファイル適用の結果です。Adobe Standardはさらに暗めですが、これも色相に変化があるようには見えません。敢えて言えば左下の丸太の椅子の赤みが少なめかという気がしますが、色相の変化なのか、暗くて彩度が減っているためか、ちょっと見た目では何とも言えません。

 次にヒストグラムを比較します。

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ヒストグラム比較

 

 ヒストグラムの山に注目しますと、左右に違いはありますが、R, G, Bのピークの出方の相互の相対的位置はほぼ全部で一致しています。若干の違いがあるとすれば Adobe StandardでRとGの山の出方に若干の差がみられる程度です。これが、丸太の椅子の色の違いを表しているのかもしれませんが、ごく僅かです。R, G, Bの波形相互の相対的位置が一致するということは、明るさの出方に違いがあっても、ほぼ色相に違いはないということです。

 人工物の色相自体に関しては、ほぼどの処理でも違いがないといってよいと思います。もちろん明るさが変われば彩度も変わりますので、色の感じ方は変わりますが、色相という点ではほぼ違いがないということです。

 

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 なお、Nikonの各カメラで、スタンダード以外のピクチャーコントロール (ニュートラル、ビビッド、モノクロームポートレート、風景、フラット) を切り替えることができますが、これらを切り替えてもRawファイルのデータ自体には影響ないということを検証された方がいます。

www.photografan.com

 当然の結果かと思います。また、逆にサムネールに影響があるというのも当然です。なぜならRawファイルに含まれているサムネールは以前指摘したようにJpegデータです。つまりカメラ内現像を行った結果なので、こちらはピクチャーコントロールの影響を受けます。

 因みにこの方は、Lightroomに読み込んで何も差が出ないということで検証をされていますが、逆に言うとサードパーティ製Raw現像ソフトである Lightroomはカメラ上の設定は自動的に一切反映することはない、ということかと思います。一方、NX Studioは、Lightroomとは逆に、カメラ上の設定をデフォルトでフルに反映させる現像ソフトということになります(もちろん、カメラ上の設定を解除することも可能です)。いちいち設定を追い込まなくてもカメラ設定を反映してくれて楽、という点がNX Studioを使う大きなメリットです。逆にカメラは単に光線をデータに転換する単なるデバイスであるべきであり、残りは全部自分でコントロールしたいという場合はLightroom(や他のサードパーティ製現像ソフト)に現像をすべて任せるのが良いと思います。