今まで、NX Studioのピクチャーコントロールを変えた処理と、Adobe Standardを使った処理を比較してきましたが、次は冬の森林の写真の処理を比較したいと思います。
冬の森林の写真は茶色や灰色が多く、人工物を写した写真に似ています。従ってあまり色相の違いは出てこないのではないかと予想されます。但し常緑針葉樹の葉は緑なのでそのだけ違いが出てきそうです。オリジナルはNikon D3200を使って撮影しています。
まず、Expeed6相当とExpeed3相当を合わせた写真から...
ほぼ境界線部分は分かりませんが、Expeed6相当では影になった部分が若干明るくなります。葉は、若干Expeed6相当で緑が強くなるようです。そこで緑の部分を拡大します。
これも分かりにくいかもしれませんが、Expeed6を重ねて、オン/オフしてみると、若干Expeed6相当で緑が強くなるのが分かります。
次はAdobe Standardとの比較です。
明るさが明確に違うので、境界は明瞭ですが、色相にはあまり違いがないようです。そこで、Adobe Standardのトーンカーブを露出、ハイライト圧縮やトーンカーブ調整を使って、Expeed3互換に近づけ、色相の違いを見ます。今回黒レベル調整はシャドウ部で色相の変化が出るようなので使いませんでした。
境界線が全く分からなくなりました。1枚の写真と言われても違和感がありません。肉眼上では、かなり近いです。重ねた画像でオン/オフを繰り返すと、ハイライト部では露出調整済みAdobe Standardの方が明るくなるので分かります。ミッド域以下では、色相の違いからは分からず、ただレンズのゆがみ調整がかかっているかないかで区別ができる状態です。肉眼上では色相差は判別できません。
そこで、ヒストグラムを比較します。
ミッド域以下では、Adobe Standardは山が鋭くなっており、NX Studio処理はヤマが鈍くなっているのが分かります。しかし、R, G, Bの山の相互の相対的位置は揃っているので、ミッド域以下ではほぼすべてが色相的にはそろっているものと思われます。このミッド域以下は主に、木の幹や土部分だと思われます。
一方、ハイライト域で違いがみられます。Expeed6相当が一番B値が低くなっており、Expeed3互換とAdobe Standardがほぼ同等、Adobe Standardの露出調整でB値が上昇という傾向のようです。ハイライト部は一番右端が空、そしてあとは主に葉の部分と思われますので、これも水田の写真を比較したときの傾向と似ています。ただこちらの方がAdobe StandardとExpeed3互換との差が少なくなっています。
Adobe Standardがやや黄色いというのは同様かと思いますが、Expeed3互換と比較したときに肉眼ではっきり分かるほど違いがあるわけではない、ということです。これはExpeed3と4とでも違いがあるせいかもしれません。Expeed3の方が緑の処理に関しては、ややAdobe Standardに近い(やや黄色っぽく処理する)のかもしれません。また葉が主に針葉樹林の葉であるという特性からくる可能性もあります。
いずれにしろ灰色(ニュートラル色域)や褐色域では、これらの処理の間で色相的な違いは非常に少ないということが確認されました。