省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

Nikon NX Studio を導入する

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 ところで今更ですが、最近NikonCapture NX-DNX Studioに代わっているのに気づきました。3月にリリースされたようです。View NX-i と Capture NX-Dを統合したということで、今後のバージョンアップはNX Studioで行われるということです*1

 という訳で、遅まきながら導入してみました。既にバージョンも1.01に上がっています。まずWindows版で感じられるのは、Capture NX-Dよりもだいぶ軽くなったという点です。Capture NX-Dはもっさりでしたが、かなりきびきびとしています。操作感もCapture NX-Dと比べても違和感がなく、スムーズに移行できます。現像結果はD5500によるRawファイルをカメラ互換のピクチャーコントロールで現像する限りは全く同一です。

 Capture NX-Dの時より、最新のピクチャーコントロール(つまり Expeed6相当)で現像できるのも変わりません。これを使えばExpeed3や4相当のカメラでもExpeed6相当で現像できます。またアクティブD-ライティングなどはメニューの位置が分かりやすくなりました。メニューは全般的に見やすくなっていると思います。

 また、Capture NX-Dの特徴として以前挙げたコントロールポイントもしっかり使えます。読み込めるファイル形式もCapture NX-Dと変更ありません。TIFFに関しては、無圧縮とLZW圧縮のみのサポートとなっていますが、なぜかPhotoshopのZIP (deflate) 圧縮も読めます(これもCapture NX-Dと同様)。GIMP等他のdeflate圧縮はダメです。

 基本、Nikonのカメラの色味が好きなら、NX Studioに現像を任せるのでも良いかな、と思えてきました。機能的に大きく向上しているというわけでもありませんが、軽さやメニュー等の見やすさ、分かりやすさという点で良い方向に進化しています。軽くなった分、写真も選びやすいです。サイドカーファイルのフォーマットも維持されています。CaptureNX-Dから移行しても、ほぼ問題点はなくスムーズに移行できると思います。またレンズの色収差補正もデフォルトでかかるので楽は楽です(これはCapture NX-Dも同様でした)。これで不満がある場合は、一旦16bit TIFFで出力して、それを他の現像ソフトやフォトレタッチソフトに持っていっても良いのではないかと思います。

 なお、Expeed6相当(最新のピクチャーエンジン)とExpeed4相当(カメラ本来のピクチャーエンジン)の違いです。

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左半分: Expeed6相当 右半分: Expeed4相当

 空の青に関しては、Expeed6相当の方が見た目に近いように思われます。

 

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Expeed6相当の現像結果における ヒストグラムとRGB値

 

 

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Expeed4相当の現像結果のRGB値

 Expeed6相当の方が、Expee4相当よりも、青空において、RとBがいずれも上昇しています。但しそれ以外の部分は差が目立ちません。

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ヒストグラムの比較

 ヒストグラムはかなり似ています。ただExpeed4相当の方がヒストグラムのエッジが効いていて、Expeed6のほうがエッジがなだらかになっているような... 少なくとも純正処理と、AdobeスタンダードなDCPカーブを適用した結果とのヒストグラムの差の方がはるかに大きいです。

 もう一点こちらの画像。

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左半分: Expeed6相当 右半分: Expeed4相当

 これも分かりにくいかもしれませんが、左半分、Expeed6相当では逆光気味のところがやや明るくなっています。デフォルトでもアクティブD-ライティングがごく弱くかかっているような感じです。

 以下の画像の方が分かりやすいかもしれません。

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左半分: Expeed6相当 右半分: Expeed4相当

 逆光気味のところで明るくなっているのがはっきり分かります。逆に順光のところではほとんど差がないようです。

 あと、NX Studioの使い勝手で気づいたのは、現像設定を、調整ファイル (サイドカーファイル) ではなく、直接元画像(NEF, TIFF, Jpag)に書き込むこともができるようになっている点です(デフォルトはサイドカーファイル保存)。これは環境設定で変更します。

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現像設定の保存方法の選択

 たしかNikがOEMで作っていたCapture NX2では、設定を元画像(NEF等)ファイルに保存する仕様になっていたはずです。それがNX-Dになってサイドカーファイルに保存する仕様になって、面倒だとの声が上がっていました。これが、環境設定のオプション選択で、以前のように元のNEFファイルに保存できるようになったようです。これは、大きな変更点かと思います。ただサイドカーファイルも、サブディレクトリにまとめて保存されるので、他の一部のRaw現像ソフトのように、Rawファイル保存ディレクトリの中にサイドカーファイルがまき散らされるという感じはありません。

 また、元画像ファイルに編集内容を保存する場合、デフォルトでは、元画像ファイルがTIFFJpegの場合、保存前のバックアップをサブフォルダに作るようですが、それを作らせないようにのすることもできるようです。

 このあたりはCapture NX2旧ユーザーには朗報ではないでしょうか。

 また全般に環境設定でいじれる項目がNX-Dに比べ大幅に増えています。そしてCapture NX-Dは32bit対応アプリでしたが、NX StudioのWindows版は64bit対応になっています(32bit版はないので32bitOSの場合はCapture NX-Dを使い続けるしかありません)。これは大きいと思います。

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Capture NX-Dの環境設定項目

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 なお、当方のPCは、Core i7-2600K / Windows10 /メモリ 24G / SSDという環境です。発売は10年前ですが、Passmarkは5459で当時としては結構高いです。もっとも今だと20000円切るCore i5でも10000超えていますから...