省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

芝生の緑 - Expeed3 /6 / Adobe Standard 相当処理の違い

f:id:yasuo_ssi:20210826231613j:plain 先日D5500のRawファイルを使って、水田の緑の各処理の違いを比較検討しました。今回はD3200のRawファイルを使って、芝生の緑の処理の違いを比較検討します。要はExpeed3の植物の緑表現を検証しようという訳です。この前の検証では、青空に関しては、Expeed3はExpeed4よりもむしろExpeed6に近いようなところもありました。一方、冬の森林では、緑の部分で、黄色いはずのAdobe StandardとExpeed3との差があまり感じられませんでした。ということはExpeed3の緑表現は結構黄色いのではないか...

 写真は芝生に咲く、タチイヌノフグリです。まずExpeed3互換と6相当の比較から。

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左: NX Studio Expeed3互換 / 右: Expeed6相当

 明らかにExpeed3互換の方が黄色味が多く、Expeed6相当は黄色味が少ないです。4月に撮影しており、新緑期なので緑に黄色みが強いのは当然ですが、それにしてもExpeed3互換は黄色味が強いようです。青空ではそんなことはなかったのですが...

 

 RGB値を見てみます。

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Expeed3互換

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Expeed6相当

 当然ながら、R, G間がExpeed6相当の方が相対的にひらいておりB値も高めです。

 次はAdobe Standard DCPファイルを適用して、RawTherapeeで処理した結果とExpeed3を比較します。ヒストグラムのダイナミックレンジをExpeed3互換に合わせるために、露出・トーンカーブ調整を行っています。

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左: Expeed3互換 / 右: Adobe Standard露出調整

 やはり思った通り、黄色っぽいはずのAdobe StandardとExpeed3互換は非常に似ています。それどころかExpeed3の方がごくわずかに黄色いです。どうやら、Expeed4より3の方が緑は黄色がかっているようです。黄色味の強い順に、Expeed3互換>Adobe Standard露出調整>Expeed6となりました。Nikonが黄色いという話はExpeed3(or それ以前も?)の緑の処理の話のことだったのか。

 RGBも見ます。

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Adobe Standard 露光調整 RGB値

 RGB的にはやはりExpeed3互換とかなり似ています。

 これに関してはExpeed6相当処理が個人的にも、やはり良いと思います。

 ヒストグラムで確認してみましょう。

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ヒストグラム比較

 Expeed3とAdobe StandardのRとGの山の形と位置が非常似ています。Adobe Standardを露出調整するとExpeed3よりもRとGが乖離します。RとGが接近すると緑色は黄色っぽくなるので納得の結果です。

 それに対してExpeed6相当の処理が、一番RとGの山が乖離しており、またBのピークの位置も最も高いです。これが最も黄色味が少ないのもはっきりしました。

 なお、ニュートラルではRとGの山がかなり接近していますが、同時にB値が意外に相対的に高いので、そこまで黄緑っぽくありません。因みにR, G値が接近し、B値が高くなると鶯色の方向になります。

 なるほど。Nikonが黄色いと言われるのはExpeed3以前のカメラの緑色の処理に主因があるようです(青空はAdobe Standardほど黄色くありません)。とはいえ、Adobe Standardで満足できるなら、Nikon Expeed3以前の黄色傾向も、問題にならないはずです。なお、当然ながらExpeed3以前のカメラを使っている場合は、NX Studioを使って、最新のピクチャーコントロールを使うことでこの問題は解消されます。