今、Adobe Lightroom / Camera Rawが、Canonの EOS R5, 6, 1DX MarkIIIに対応したカメラ固有プロファイルがなく (これらのカメラに対応したAdobe Standardプロファイルはある)、これらのカメラのRawファイルを読み込むと色がおかしくなってしまうことが問題になっているそうです*1。特にCanonのRシステムのカメラについては、初代 EOS R以外は、Adobe Standardプロファイルは存在しても、カメラ固有プロファイルがないようです。確かにDNGコンバーターをインストールしても、Canonのこれらのカメラ固有プロファイルは見当たらず、Adobe Standardプロファイルしかありません。ただ、Canonの純正現像ソフトはそれなりに優秀らしいので、Lightroomの操作性が手放せないなら、Capture Oneなどに乗り換えなくても、純正ソフトで基本現像をしたものを、機能が足りない分、Lightroomに読ませるなり、Photoshopで処理するなりでもいいような気がしますが... おそらく、1からLightroomやCapture Oneで現像しなければダメ、というのも単なる思い込みではないかと思います。
しかし、それはともかく、ARTではこれらに対応したカメラ固有プロファイルが用意されています。私はCanonのこれらのカメラのユーザではないので、ARTのカメラ固有プロファイルの精度を検証することができませんが、以下の議論の中にR5のRawファイルを使ったサンプルが出ています。因みにここにアップされたサンプルファイルを使ってARTでTIFF現像してみましたが、保存ボタンを押してから25秒程度で出力完了となりました。またどこかパラメータをいじって表示が反映されるまで非常に時間がかかるということもありません。
CanonユーザーでDigital Photo Professionalをお使いの方は、純正ソフトとARTの処理を比較検討されてはいかがでしょうか。R5ユーザでなくてもこちらにR5のRawファイルのサンプルがあります。なお、Canon 1D X Mark IIIに関してはまだ非対応です。CanonのCR3ファイルはどうやら、同じ拡張子でも、カメラごとに形式が異なるようなので個別の対応が必要なようです。
discuss.pixls.us なお、このディスカッションでは、投稿者の方がEOS R5のCR3ファイルを読んで色がおかしくなったと指摘していますが、原因は別途インストールしていたExiftoolのバージョンが古かったのが原因でした。Linux上ではARTとExiftoolは、別々にインストールしなければならないので、ExiftoolとARTのバージョン不適合が起こる可能性があり、このような問題が起こり得ます。Windows上では、ARTのディレクトリにExiftoolがインストールされますので、問題は起こりません。またディスカッション内に、正しく読めているサンプルも上がっています。
なお、参考までにフリーで使えるEOS R5のサンプルRawファイルを使ってART上でカメラ固有プロファイルを使って現像した画像と、Adobe Standard DCPプロファイルを使って現像した画像を掲出します。ARTのEOS R5カメラ固有プロファイルは、ベーステーブルのみで、トーンカーブは含まれていないようです。しかし、ARTにはRawファイルのサムネイル用プレビュー画像データから、トーンカーブを再現するトーンカーブ自動調整機能がありますので、なくても問題は少ないと思います。サンプル画像は下記の raw.pixls.usからダウンロードしたものです。
因みに、本家のRawTherapeeは2020.2からまだバージョンアップされていないので、安定版では未対応です。
また、別のフリーのRaw現像ソフトである、darktableのカメラサポート状況は以下をご覧ください。ただ現状これらのカメラには未対応のようです。
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著作権は放棄されていませんが、利用者が自由に利用できることが許諾されているRawファイルのサンプルが以下のサイトから得られます(なお、一部自由に使えないものもあり)。本記事で掲出しているサンプルもこちらから得たものです。
raw.pixls.us Raw現像ソフトの動作検証などに活用できます。
*1:以下のページ参照。