先日、NX Studioの色収差補正が非常に優秀だということを指摘しました。ふと思って現像済みのファイル、あるいは他社カメラで撮ったファイルではどうだろうと思って試してみると... これ、有効ですね! しかも他社カメラで撮ったファイルでも相変わらず非常に優秀です。
こちらは、OlympusのE-5で撮った写真です。レンズは、ZUIKO DIGITAL11-22mm F2.8-3.5です。レンズとしてはお安いレンズではなく、竹クラスのレンズだったと思います。4/3, m4/3のレンズは、Rawファイル段階である程度色収差などが補正されているはず... なのですが。これを一旦Olympus純正現像ソフトで16bit TIFFで現像したものを、NX Studioに読み込んでいます。
まず補正前から...
補正前ですが、既に一応Olympusの純正現像ソフトで色収差補正がかかってはいるようです。
次は補正後です。
いや、見事です。自社レンズのプロファイル情報に基づいて精密な補正が行われていると思っていましたが、そうではなく、アルゴリズム自体が優秀なんですね。Nikonすごい! 凄すぎます!
他のRaw現像ソフトでも試してみます。これらに関しては直接Rawファイルを読み込んだ事例です。
darktableでは、3つのモジュールを掛けています。chromatic aberrations, raw chromatic aberrations, lens correction (TCR / 倍率色収差)です。補正を掛けて改善はされているものの、このキャプチャーでは、NX Studioの足元にも及びません。但し、raw chromatic aberrationsの効果は100%以上のプレビュー画面では反映されないとありますので、出力して拡大してみます。
確かにだいぶましにはなっていますが、Olympus純正ソフト並みか、それよりややましか、というあたりです。微妙に輪郭線に赤いフリンジが残っています。
こちらはRawタブにある色収差補正を適用しました。かなり優秀で、Olympus の純正ソフトを上回りますが、NX Studioに比べ、はっきり、くっきり感に劣るというのは、以前RawTherapeeで検証したのと同じです。もちろんベイヤー / x-transセンサーのRawファイルでなければ適用できません。
最後はLuminar3です。
darktableやOlympus純正と互角か、というあたりかと。ただこれだけ400%にならず、300%ですので、はっきり断定はできません。ART / RawTherapeeには完全に負け、NX Studioとは勝負になりません。
いやあ... 自社レンズでも他社カメラのレンズでも、梅レンズを松レンズにしてしまうNX Studio、凄すぎます。レンズの色収差に関しては完全にNikonに脱帽です! さすがレンズのNikonです。いい仕事してますねぇ~!
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ところでNikonの色収差補正の優秀さ、他に誰か気づいているのかと思って検索すると、ありましたね。2012年にViewNX2の色収差補正が優秀だと指摘している方が...
昔からご存じの方はご存じのようで... でもその割にはその実力が知られていないような... そういえばこの記事、以前読んだことがあったのを思い出しましたが、その時は、ふぅん、そうなんだ... で終わっていました。自分で問題を掘り起こさないとなかなかその意味が分かりません。他の皆さんもそうなのかもしれませんが...
またNikonのソフトの色収差補正の優秀さを指摘するWeb上の記事数も少なく、Googleでとりあえず検索してみたら、この記事と、この記事を引用した記事の2本しか見つかりません。Nikonの現像ソフト、カメラのおまけだと思われて、過小評価されているのではありませんか?
ここだけの話、他社カメラや、他社現像ソフトで現像したものを、最後 NX Studio に通すと、色収差に関しては、ぐっと良くなるのではないでしょうか。
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[追記]
■NX Studio で TIFF ファイルの色収差補正をかける際の注意点
まず、NX Studio が読み込める TIFF ファイルは無圧縮もしくは LZW 圧縮のもののみです。
また、TIFF ファイルを作成する際に他ソフトで既に色収差補正をかけていると、NX Studio でそれに重ねて色収差補正をかけられません。かならず他ソフトでは色収差補正をかけないようご注意ください。