省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

色収差補正 Raw現像ソフト間比較 / Nikon NX Studio, darktable, RawTherapee, Luminar3

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 先日、Nikon D5500のRawファイルを使い、Raw現像ソフトの間で空の色がどう異なって処理されるかを検証しました。その際、デフォルトで色収差の補正が掛かったりかからなかったりしました。

 今回、Raw現像ソフトの色収差補正機能がどうなのかを調べてみます。まず、先日掲載した図を再掲します。写真はNikon D5500+キットレンズのAF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR IIで撮っています。

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色収差補正のあり/なし

 左は、Nikon純正のRaw現像ソフト、NX Studioの色収差補正 (レンズ補正の倍率色収差補正) が掛かったデフォルト状態で出力した結果で、右はdarktableで一切色収差補正なく出力した状態でした。しっかり色収差が出ています。これに対し補正を掛けるとこうなります。

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色収差補正比較 NX Studio / darktable

 darktableでもだいぶスッキリしましたが、NX Studioのようにはっきりくっきりとまでは行きません。darktableで掛けたモジュールはchoromatic aberrations (色収差補正), lens correction (レンズ補正), defringe (にじみ削除), sharpen (シャープ化)を掛けましたが、一番効果が大きかったのは、lens correctionです。レンズのプロファイルに従って補正を掛けるというのが非常に大きいようです。

 

 次は、RawTherapeeとLuminar3です。やはり NX Studioとの結果で比較します。

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色収差補正比較 NX Studio / RawTherapee / Luminar3

 やはり、RawTherapeeの色収差補正結果も、NS Studio のくっきりはっきり感にかないません。ただ色収差補正自体は、darktableよりも良く効いていると思います。NX Studio Expeed4相当の方があまりにくっきりはっきりしすぎて人工的なので、こちらの方が良いと思う方もいらっしゃるかもしれません。

 RawTherapeeで使っているモジュールは、CbDLタブの、シャープニング、フリンジ低減、rawタブの色収差補正です。また、変形タブのレンズ補正プロファイルも使っていますが、ここの色収差補正は使っていません。効果の大きかったのはrawタブの色収差補正です。これを自動で掛けています。この[繰り返し]の回数を増やすと補正効果が増します。レンズ補正プロファイルにも色収差補正はありますがこちらは効果が弱く、しかもrawタブの色収差補正と併用するとかえって色収差が増えてしまいます。使うならどちらか一方にすべきです。これにシャープニングなどを掛けてよりくっきりしますが、NS Studioのくっきりはっきり感には及びません。ただ、NX Studioはくっきり、はっきりしすぎで不自然で嫌、という方もいらっしゃるかと思いますので、そういう方にはRawTherapeeはお勧めです。NX Studioに及ばないとはいえ、RawTherapeeの個別の、レンズ専用のプロファイル情報を使わなくても、色収差補正が優秀で解像力も高いという点は特筆すべきです。

※2021.9追記

 NX Studioもどうやらレンズのプロファイル情報を使わずに色収差補正を行っているようです。

 darktableより色収差効果が高いのは、デモザイク時に同時に補正を掛けているためなのかどうか... もっともNX Studioの倍率色収差補正は現像済みのTIFFJpegでも有効なので関係ないか...

 Luminar3に関しては、darktableとどんぐりの背比べですが、RawTherapeeよりスッキリ感に劣るという感じです。使っているのは、エッセンシャル>Raw現像>レンズの自動-色収差をオンにしています。これはレンズのプロファイル情報を基に補正しているのかどうかは不明です。またシャープを掛けると若干不自然な感じがします。

 ともあれ NX Studio のくっきり、はっきり感、解像力は突出しています。

 Nikonのカメラで、くっきり、はっきり、シャープな画像を目指すなら、NX Studio 一択、もうちょっとソフトが好みならRawTherapee かと思います。

 ここでは、純正ソフトの優位がはっきりしています。そして純正ソフトを使うことでレンズの解像力も大幅アップです。NX Studioは、基本的な部分でしっかり現像できる現像ソフトである、という印象を持ちました。もっとも高価な色収差の少ないレンズ (EDレンズ) だとそこまで差が出ないかもしれません。でも考えてみれば、サードパーティ製のソフトの方がより良く現像できるというのはやはり変ですよね。やはり本来こうではなくては。

 NX Studioで基本的なRaw現像を行って16Bit TIFFファイルで保存し、NX Studioの機能の足りない部分は、このTIFFファイルを他のRaw現像ソフトやフォトレタッチソフトに読み込ませて追加補正する、というのがやはり本来あるべき姿かと。

 もしLightroomなどサードパーティのRaw現像ソフトを使っていらっしゃる方は、実際にRawファイルの現像を純正とサードパーティソフトでやってみて比べてみて、どれほど違いがあるか確認してみることをおすすめします。純正ソフトはダメというのは思い込みかもしれません。色収差は画像の周辺部分で顕著ですので、画像の周辺部分を100%以上に拡大してご確認下さい。