省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

Olympus Workspaceを使ってみる

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 さて、今メインで使っているカメラはNikonですが、以前はOlympusの4/3のカメラを使っていました。今も家には4/3のE-5とm4/3のE-P3が転がっており、サブとして使うこともあります。いずれも10年前の機種で、あまり性能のよろしくない、と言われていたパナソニックのセンサーを使っていた頃の機種です。

 Olympusの純正Raw現像ソフトは以前はOlympus Viewerで、私も使っていましたが、いつの間にかOlympus Workspaceに代わっていました。それでこれもインストールしてみました。

 Olympusの純正現像ソフトは、多くの他社ソフトと異なり自社開発なので、カメラ内現像の結果が忠実に再現されると言われていました。ネットで書かれていることを見ると、OlympusCanonは自社開発、Sonyは自社開発だが、自社開発の純正現像ソフトは出来が悪く、Sonyユーザーなら無料で使えるCapture One Express for Sonyを使った方が良い、Panasonic, Fuji, Pentax, Nikonは市川ラボのOEMだから、カメラ内現像と同じ結果が出ない... etc.

 この手のうわさがどこまで本当なのかどうか分かりませんが、少なくとも Nikonに関しては、NikがGoogleに買収され、急遽Capture NX-Dに切り替えられた当初はともかく、現在では当てはまりそうもないということは確認できました。特にNX Studioは、速度が速くなったこと、そしてカメラ内の種々の設定や補正がデフォルトで反映される点で、いちいち設定をいじらなくても済み、かなりメリットが大きいことが確認できました。色収差補正の優秀さも特筆ものです。

 そこで、今回Olympusの純正現像ソフトを久々に更新して使ってみました。ただ、このソフトウェアいまだに32bitアプリですね ([追記] 本記事執筆時点。OM 分社時点で 64bit 化されたようです)。もちろんパフォーマンスが良ければ32bitでも構わないのですが... 読み込んだのはE-5で撮影したRawファイルです。NX Studioだったら、ゆがみ補正や色収差補正など基本的な補正がデフォルトで読み込んだ段階でかかりますが、Olympus Workspaceでもかかるようです。

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Olympus Workspaceで読み込んだところ

 

 ...ですが、Nikonに比べ項目数が結構少ないです。これはカメラの仕様なのか、ソフトの仕様なのか... 特にNX Studioで目を見張ったのは色収差の補正能力が非常に高いことでしたが、Workspaceはレンズプロファイルを使った色収差補正機能項目がそもそもないようで、マニュアルでパラメータを指定しないと補正できません.... と思ったら、これはどうやらフォーサーズのカメラのRawファイルは既にカメラ内でレンズプロファイルを使った補正が掛かった状態で出力されているためのようです*1。下記のAdobeのヘルプをご参照ください。

helpx.adobe.com

 ホワイトバランスや、カラーフィルタや仕上がりのフィルタ、ノイズフィルタなどはカメラ設定が反映してかかるようです。

 カラーフィルタや仕上がりフィルタは、Workspaceを使わないと再現できないと思いますが、色収差に関しては、ART / RawTherapeeで自動で補正がかかり、しかもどうやらWorkspaceより色収差補正の能力は高そうなので、Nikonに比べて、純正ソフトを使うメリットが少ないような印象です。NikonではアクティブDライティングなど、サードパーティソフトでは直接調整できない、あるいは再現しようと思うと調整にひと手間掛けなければならない自動調整項目が結構多く、純正ソフトを使うメリットが大きい感じでしたが...

 ただソフトの動きはやはり以前より改善しているようです。ファイル選択などで、動きが緩慢でイライラするという印象はありません。

 なお、ちょっと困るのはデフォルトで読み込んだ時に、補正が掛かっているのか、かかっているのか分からない点です。最初は、全くチェックがついていないので、何一つ自動でかからないかと思いました。これではメーカー純正ソフトを使う意味が半減だ、と思いましたが、出力してみると、どうやら補正が掛かっているようです。非常に分かりにくいです。このインジケーターが、効果が掛かっているのかいないのか非常に分かりにくいという難点はDPReviewでも指摘されていました。

 なお、このソフトの基本性能の検討はまた後日行いたいと思います。

 また現像のための編集設定は、他のソフトウェアだと多くの場合自動的に現像設定ファイル(サイドカーファイル)が作成されます。しかしWorkspaceでは、明示的に保存しない限り、各ファイルの編集設定は保存されないようです。

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編集設定の保存

 保存した場合は、oesという拡張子の編集設定保存ファイル(サイドカーファイル)ができるようです。中身はxml形式のようです。また、Workspaceで変更した点のみ保存され、デフォルトのまま現像した場合は、そもそもoesファイルを作れません。ファイルにアクセスし、カタログしただけでサイドカーファイルを作りまくるRaw現像ソフトがある一方で、このほうがすっきりしてよい、と思われる方もいらっしゃるかと思います。

 

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DPReview記事

https://www.dpreview.com/reviews/adobe-camera-raw-vs-olympus-workspace-which-app-should-you-use

 

*1:[追記] これはレンズの補正データが Exif データに記録されており、純正現像ソフトや Adobe などの商用ソフトの場合、Exif データから補正データを適用して出力するようです。