ARTのホワイトバランスモジュールの下に「色偏差」tint というパラメータがあります。写真をマゼンタ寄りにするか、グリーン寄りにするかを調整するパラメータです。この色偏差という訳語は RawTherapeeの日本語版が採用していたものをそのまま受け継いだものですが、先日マゼンタがかったフィルムスキャン画像の補正をいろいろ試しているときに、ソフトウェアによって結構訳語がばらばらなのに気づきました。
Adobe Lightroomでは「色かぶり補正」と訳しているようです(下記参照)。
Nikon NX Studioでは、「色味」としていました (英語ではtint)。
Canon DPPの場合、英語で Color Tone、日本語で「色あい」となっているようです。
Olympus Workspaceでは、スライダーに色を付けていますが、訳語をつけることを回避しています。
Sigma PhotoPro ではこのような調整項目はありません。
Capture Oneに関しては、Canonと同じく「色合い」と訳されているようです。英語はCanonとは異なり Tint です。
DxO PhotoLabは... 「色相」です。これじゃhue と区別がつかないじゃん...
darktableに関して篠崎さんはどう訳されたか見てみると... 「ティント」とそのままです。訳語に困られたかと...
「色偏差」という訳語が分かりにくいのは確かです。また、先日も述べたように、ネガカラーフィルムのスキャン画像ではマゼンタに色被りになる傾向がありますので、それを考えると「色被り」という訳語は適切かもしれませんが、デジタルカメラの画像だと、マゼンタ被りが取り立てて特徴的な色被りとは言えません。それ以外にも色被りはあるだろうという気にもなります。
とすると、やはり「色合い」かなぁ... あと白黒画像にセピアなどの色付けをするのに tint を使っているので... こちらは着色の色合い、ぐらいかなぁ... というわけで誤訳というほどでもないので、次回のARTバージョンアップで訳語を改訂したいと思います。ARTは分かりやすさを目指しているソフトですので、訳語も初心者でもなるべく分かりやすいものを目指したいので。
因みに韓国語では... と調べてみると tint のLightroom韓国語版の訳語にはAdobeの韓国語サポートページを見ると、색조 (色調) とあります。これでは Hueとの区別がないのでは... と見ると、やはり区別がありません。Photolabの日本語と一緒やん。ただ Hueの方は時々 색상의 색조 (色相の色調) と書かれている場合がありました。