ここのところ、Linux をメインの作業環境として使えるかどうかの検証を行っているところです。先日、Linux 上のオフィスソフトのワープロの機能を検証したところです。
今回も引き続きワープロ機能のうち、IVS 対応状況について調べてみたいと思います。IVS の詳しいことは以下のサイトをご覧いただきたいですが...
moji.or.jp
... 要するに、異体字を扱う国際規格です。例えば渡辺の、辺 には多くの異体字があります。その中には、多く使われて、すでに Unicode に番号が振られてい、多くのフォントにも搭載されている文字もありますが、使われることが稀で、そもそもフォントがないケースもあります。その場合、本字に対する枝番を振って区別すると、その文字を表現するフォントがない場合は、本字を代用して表示する、ということができます。
この枝番や枝番を使ったフォント表示の仕方を定める規格がIVS/IVDということになります。
この規格は、自治体等の戸籍や住民登録等の業務には必須になります。しかしこれを使うには、IVSに沿ったフォントと、アプリケーション側の対応 (+ OSの対応) が必要になります。そしてこの規格に沿ったフォントとしてIPAmj明朝が無料で公開されています(窓の杜よりダウンロード)。なお、OSに関して言うと、Windowsでは、Windows7以降 (2009年発売) で規格に対応しました。一時、国産ワープロ「一太郎」が多くの自治体で使われ、現在でも、世の中の主流が Word になっても、いまだ「一太郎」を公式アプリとして採用する自治体があるのも、「一太郎2014」からいち早くこのような規格にフル対応したからです (Word は当初別売のアドインソフトを使うと入力可能という状態でしたが、今では、当然ながら Word もフル対応しています)。
今回は先日検証したワープロソフトの、IVS対応状況についてレビューしてみます。
まず検証結果から簡単に言うと、LibreOffice Writer → ○, WPS Office Document → ☓, SoftMaker FreeOffice → ☓ です。
LibreOffice Writer の場合、Windows上で、IVS枝番を使ったフォントで文書を作成し、Linux上で読ませると、なぜかデフォルトフォントに変わってしまいますが、Linux 上でフォントを変更すると正しく表示されます。Windows上でのフォント名が IPAmj明朝 であるのにたいし、Linux 上では IPAmjMincho になってしまうためのようです。
なお、Word ファイルを読ませると、表などの枠線に囲まれた文字では文字化けしますが、そうでない部分は、フォント名を変えさえすれば正しく表示できます。
次にSoftMaker TextMaker ですが、全くダメです。枝番部分が以下の図のように、変な文字として表示されてしまいます。
WPS Office Document ですが、IVS対応フォントで表示すれば、枝番文字は表示されませんが、本文字に全て置き換わります。ただ、対応フォントを使うなら、TextMaker のように枝番が変な文字として表示されることはありません。IVSに対しては部分対応ということでしょうか。
LibreOffice がこんなにしっかり対応しているのは意外でしたが、 JA福岡市がいち早く 2011 年に公式オフィスソフトとして採用し、会津若松市でも採用している成果が出ているようです。
LibreOffice が Linux 上機能 No. 1 オフィスソフトである地位は揺るぎないと言えます。