近いうちに、ART の Ver. 1.21 がリリースされます。今回の ART のバージョンアップの大きな目玉は、映画芸術科学アカデミーから提供されている CTL 言語のサポートです。CTL (カラー変換言語) とは、C や C++ に似たスクリプト言語で、この言語を使って書いたスクリプトで ART におけるピクセル単位でのカラー編集機能をカスタマイズできるようになります。
bitbucket.org これに併せて、CTL を使って書かれた、darktable で採用されて好評を得ている、シグモイド・トーンマッパーが今回実装されます。また、映画芸術科学アカデミーでは、いくつかの CTL スクリプトもすでに公開されています。
これを一部、ART 上でも使えるよう書き換えたものが、以下にあります。
Griggio 氏は、これらのスクリプトを最初からすべて実装するのではなく、オプショナルな CTL スクリプトのうち多くの人に好評のものだけを正式に実装していくつもりのようです。
おそらく、Griggio氏の意図としては、ART への様々な機能追加要望がある一方で、それらの機能追加要望を一つ一つ聞いていると、どんどん機能やパラメータ設定項目が増え、その結果非エキスパートのユーザにとっては迷いやすく使いづらくなってしまいます。そのため、機能要望については一旦オプショナルな CTL スクリプトで応え、あるいはユーザに CTL スクリプトを直接開発してもらい、多くの人に受け入れられたもののみ正式な機能追加とするということで、ユーザインターフェースのシンプルさと機能増加のバランスを図ろうと考えているようです。非常にスマートな解決策かと思います。
なお、シグモイド・トーンマッパーモジュールについては、以下の darktable のシグモイドに関する拙稿をご参照ください。
yasuo-ssi.hatenablog.com ただし、ART のシグモイドでは、darktable の次期バージョンリリースに向けた原色調整機能も付加されています。これについては、以下のページもご参照ください。
これ以外に、フジフィルムの X-trans Raw ファイルにおけるホットピクセル補正機能などもサポートされます。
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12/7 に 1.21 がリリースされました。