先日、オンラインディスカッションに投稿された、Nikon D7200 で撮影された、高 ISO のノイズの多い画像を darktable で補正する例を紹介しましたが、同じスレッドで、ART を使ってそれに迫る補正を行っている例がありましたので、そちらも紹介したいと思います。補正例を投稿されているのは、Thierry007 氏です。
実例は、オンラインディスカッション上で見ていただくことにして、ここでは、ART 上のパラメータ設定のみ紹介します。
■ノイズ低減関係
・デモザイク設定
高 ISO がぞうではデモザイクに LMMSE を使用することが肝心だと述べておられます。
・ノイズ低減設定
控えめモードを使っておられますが、輝度ノイズをパラメータを限界いっぱいまで上昇させ、ディテールの復元で調整しています。ディテールの閾値もやや大きめにとっています。この効果は大きいです。
因みに ART のノイズ低減ですが、以前よりアルゴリズムが改良され、ノイズ低減を大きく取っても色が変わるというようなことがなくなりました。
・スムージング設定
ART のスムージングは基本的にはぼかしを入れてノイズを目立たなくしていますが、ガイド付きモードを使うことで輪郭をなるべく残しています。このスムージングには、以下のブラシマスクを掛け、鳥の周囲のみスムージングを掛けています。
■トーン・コントラスト関係
以下、トーンを調整してコントラストを調整するパラメータです。
・トーンイコライザー & 露出設定
シャドーからミッドトーンの値を引き上げメリハリをつけています。
・カラー / トーン補正 - シグモイド・トーンマッパー
さらにシグモイドを使ってトーンを調整していますが、純色度の減衰を掛けています。通常この純色度の減衰は、例えば暗いコンサート会場などで原色に近い LED 光源などが使われている場合、トーンマッパーを使って調整すると、アーティファクトが出ることが多いので、それを抑制するために使われますが、ここでは使われています。
・ローカルコントラスト
鳥の本体部分のみにマスクを掛け、中域を中心にローカルコントラストを高めています。
・カラー / トーン補正 - 知覚的 1 (色補正なし)
左の枝の部分にマスクを掛け、シャドウを引き上げるとともにミッドとハイライトを引き下げ、コントラストを下げています。色の調整は行っていません。
・カラー / トーン補正 - 知覚的 2 (色補正なし)
こちらはトリノ本体のみにマスクを掛け、ミッドトーンを多少引き上げています。
■色関係
・ホワイトバランス
色関係はホワイトバランスのみですが、基本カメラ撮影時設定そのままのようです。