省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

ART現像例: 夜間撮影画像の補正

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 今回は Nikon のカメラを使って夜間に撮影した写真の ART による代替現像例をお示しします。Nikon D5500を使って撮影した元画像が下です。測光はマルチパターンを使用しています。また画像は Rawファイルに含まれる Jpegプレビューイメージです。つまりカメラの元設定どおり現像するとこうなるという画像です。なお、Nikon のマルチパターン測光は、夜間の被写体に対して、スポット測光よりも良い結果を得られることが多いのですが、この写真の場合は今ひとつでした。

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RawファイルのJpegプレビューイメージ

 蛍光灯が当たっているハイライトがやや飛び気味です。色も蛍光灯の影響かやや黄色~黄緑っぽいような感じです。そこで、ART でカメラ設定とは大きく設定を変えて現像してみます。カメラの作る絵作りが好きなら純正ソフトで処理すべきというのが私の持論ですが、今回はカメラのデフォルト設定が気に入らないので ART で大きく絵の調子を変えます。

 まず、とりあえず ART で読み込んでみます。

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ARTで読み込む

 上のプレビュー画像に近いイメージで読み込まれます。ART のデフォルトは Exif データからなるべく元のカメラ設定を反映するように読み込みます。

 

 

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トーンカーブデフォルト(自動調節オン)

 さらにデフォルトでトーンカーブの自動調節オンになっていますが(これはㇷ゚レビュー画像を基にトーンカーブを再現する機能です)、ここで、カーブをフリニアに直します。

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トーンカーブをリニアに

 ややまぶしすぎる画像が直りました。また車体の帯の青が鮮やかになりました。

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ホワイトバランス自動補正

 次に、ホワイトバランスの自動補正を掛けるとやや黄色~黄緑っぽい画像が、ステンレスの本来の色に近い色合いになりました。

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対数トーンマッピング調整 自動→手動

 さらに対数トーンマッピングを使ってトーンを調整します。一旦自動にした後、ヒストグラムを見て、なるべくダイナミックレンジが広くなるよう手動でさらに調整します。黒の相対的露出を上昇させると、シャドウ域の明度が下がり、黒が締まります。

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トーンカーブ調整

 さらに、トーンカーブを使ってゆるいS字調整を掛けて、コントラストを調整します。トーンカーブの代わりにトーンイコライザーを使っても良いと思います。

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遠近歪み補正 & 自動歪曲収差補正

 やや上広がりの遠近歪みが出ていますので遠近歪み(パースペクディブ)補正をかけ、さらに自動歪曲収差補正を掛けました。

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スムージング

 さらに、暗い部分のノイズを補正するため、軽めにスムージングを掛けました。なお、ノイズ減少はカメラ設定を反映してデフォルトでかかっていますので、そのまま使っています。

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最終出力結果

 最終出力結果がこちらです。

 

 なお、NX Studioでもやってみました。

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NX Studio 調整結果

 ホワイトバランス調整で、自動調整だと今ひとつでしたので、色温度を調整し(蛍光灯5000k使用)、さらに露出補正で -1EV 掛け、また遠近歪みについても補正を掛けた結果です。LCH補正まで使うともうちょっと色合いを調整できるとは思いますが...