目次: ART を使った不均等黄変ネガフィルム画像の補正テクニック
(1) チャンネル再構成で黄色味を消す
(2) 相対色領域補正を使って黄色味を削除する (本ページ)
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■ 黄変した部分を補正する
・相対色領域補正スクリプトを使う
連載2回目ですが、今回は黄変を、チャンネル再構成の代わりに、相対色領域補正スクリプトを使って補正する方法です。やはり前回と同じファイルで説明していきます。
こちらのスクリプトは、相対RGB色に基づいたマスクを掛けることを前提として、その範囲の R, G, B 値を直接調整することで黄変を修正していくものです。
まず、カラー/トーン補正のモードから [相対色領域補正] を選びます。次に相対的に黄色い領域にマスクを掛けます。対象領域表示にチェックを入れ、マスクの対象領域を確認してください。範囲が不適切なら適宜パラメータをいじって範囲を調整します。
[対象色の閾値調整] は、基本的にはマスクがカバーする範囲を拡げたり、狭めたりします。[対象色の傾き] は、例えば、対象色領域が黄色であれば、赤にセンシティブな方向に傾けるのか、それとも緑にセンシティブな方向に傾けるのか、ということです。詳しくは以下のツールチップをご覧ください。
[ガンマ補正] は、このマスクを作成する基盤となる画像に掛けるガンマを調整します。1.0 なら、ガンマが掛かっていません。注意していただきたいのはこのガンマはあくまでもマスク作成元の画像に掛けるのであって、作成されたマスク画像に掛けているのではないという点です。従って通常ならガンマを上げれば明るく、下げれば暗くなりますが、このスライダーを上げても必ずしもマスク画像が明るくなるわけではないということです。元の R, G, B 比や、明度レベルによって、場所によって明るくなったり、暗くなったりします。ともあれマスクのトーンは変化します。
マスクの範囲が適切なら、対象領域表示のチェックを外し、色調整のスライダーを動かして色を調整していきます。下のケースではブルーチャンネルのスライダーを青方向に動かしたところ、きれいに空の黄色味が消えました。
なお、マスクの範囲で一部除外したい領域がある場合は、ART ビルトインのパラメータ指定マスクやエリアマスクなどを併用して適用除外領域を作ります。下の、マスクの反転というチェックボックスのチェックをいれると指定した範囲が適用除外領域になります。
チャンネル再構成スクリプトと本スクリプトのどちらかを選ぶべきかですが、本スクリプトの方が直接調整値をいじりますので、補正量はより大きいですが、変褪色の出方によってはどうしても補正後の色ムラが取り切れない場合が出る可能性があります。その場合はチャンネル再構成スクリプトを使ったほうが良好な結果が出るかもしれません。