以下、Bチャンネル再建法 (+汎用色チャンネルマスク作成ツールによる追加補正) を使ったファイル補正の記録です。個人的な備忘録ですが、他の方の参考になるかもしれませんので、公開します。
飯田線 クモハ53003画像
空~駅ビル部分に黄変がみられます。画像上端部にBチャンネル情報抜けもあるようです。フィルムはフジカラーF II です。
画像上端部、Bチャンネル情報抜け補正を行っています。
グローバルにBチャンネルにS字のトーンカーブ(シャドー部でのB値の引き下げ & ハイライト部でのB値の引き上げ)と、Gチャンネルのごくわずかな値上昇補正により、やや赤紫がかった色調を補正しています。また、汎用色チャンネルマスク作成ツールで電車の青色部分を透過させるブルー透過マスクで、B値を引き上げるとともに、空~駅ビル部分をカバーするイエロー透過マスクをかけてB値を引き上げ、グローバル補正の影響のキャンセルを図っています。
やはりコニカ-ミノルタのフィルムスキャナ純正ドライバは、フィルムに黄変があるとBチャンネルに対し引き上げて補正を掛ける傾向にあるようです。これは、黄変していた部分を考慮すると、結果的に逆S字のトーンカーブを掛けた効果に相当します。従って、Bチャンネル再建法適用後は、それをキャンセルするためにBチャンネルにグローバルなS字補正を掛ける必要があると思います。
最後RawTherapeeでホワイトバランス、色温度調整(6400k)、明るさ、トーンカーブを使ったコントラスト補正(弱いS字カーブ)を掛けて仕上げました。
この写真は一番最初に黄変ネガ写真の補正に取り組むきっかけになった写真です。かなり苦労して、マニュアルで黄変部透過マスクを作るというアイディアを得たきっかけとなった写真です。今回整備した新たな黄変ネガ写真補正手順に従って再補正してみます。
やはり空~遠景部分を中心に黄変がみられます。四周にBチャンネル情報抜けも確認できます。フィルムは黄変しやすい富士フィルムのHR400です。
周辺部のBチャンネル情報抜け補正を行っています。
GIMP用プラグイン、Resynthesizerを使って、フィルムの傷の除去を図ります。
植物の緑を補正するために、汎用色チャンネルマスク作成ツールを使い、グリーン透過マスクを使い、G値、R値の引き上げとB値の引き下げを行って、植物の緑の色を改善します。さらにグローバルにBチャンネルにやや緩めのS字のトーンカーブで補正を掛けます。
さらにRawTherapeeで露出補正、ホワイトバランス補正、BチャンネルへのトーンカーブS字補正を加え、空のピンクを消していきます。また明るさの補正も加えて(ミドルトーンを中心に明るくする)、最終出力としました。
いずれの写真も、多少の試行錯誤を含んだとしても30~50分程度の時間で補正できています。1時間かかることはありません。機械的にBチャンネル補正法を適用するだけだったら (つまり第一段階の補正画像を得るまで) 10~15分ぐらいで済みます。
昨年7月にBチャンネル再建法を開発した時点では、再建法適用後のカラートーンの調整に非常に悩んでいて、RawTherapeeのフィルムシミュレーションでお茶を濁していたりしていましたが、汎用色チャンネルマスク作成ツール開発後は、この点はかなり解決されたと思います。また画像のRGB値を調べるのも非常に重要です。
なお、最後の調整でRawTherapeeを使うか、darktableを使うかですが、色の調整の追い込みがまだ必要な場合はRawTherapee、GIMPでほぼ色の調整が終わり、後はコントラスト調整がメインとなる場合はdarktableの方がやりやすい、というのが個人的な感想です。この辺りの使いやすさツールに対する習熟度でも変わってくると思います。ただ個人的には色の調整には、RawTherapeeのRGBカーブの方が、darktableの様々なカラー調整ツールで色相をいじるよりは自由度が高く、狙い通りの結果を得やすい一方で、単純な画像コントラスト調整ツールとしては、トーンカーブで明度や輝度を調整するよりも、darktableのフィルミックRGBの方が優れているように思います。