省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

自然色のリファレンス: 盛夏の緑

 色のリファレンスを示すシリーズですが、今回は盛夏の植物の緑を扱います。いずれもNikon D5500で撮って、RawTherapeeのトーンカーブの自動調整を掛けています。これはカメラ内現像のJpeg画像に近くなる調整方法です。まずはこちらの1枚から...

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写真1

 こちらは先日撮った写真ですが、アングルは異なりますが、場所的には以前新緑の写真を撮った場所と同じです。

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写真1-1

 同じ場所の、さらに炎天下。上の写真よりさらにB値が下がって、黄緑がかっています。GとRの差が10前後というのは、やや差が狭まっているようですがあまり変わりません。

 

  新緑の写真も再掲します。

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新緑の写真

 新緑と比較すると、新緑の場合は、RとGの差が小さく、若干GがRを上回っている程度ですが、盛夏になると、RとGの差は10%ポイント前後差が開いています。B値が一番低いのは変わりませんが、しかしB値自体は新緑に比べ倍程度の値になっています。

 

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写真2

 こちらも基本的に写真1と同傾向です。GとRに10%ポイント前後の差があり、G>R>Bの順です。Bは30%台前後です。

 

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写真3

 こちらは薄暗い森の中の草の葉ですが、GとRの差が15%ポイント程度と、写真1, 2よりも差が開いています。またBの値もRより10%ポイント前後マイナスと、Rの値に迫っています。G-R間の差が多少開く一方、R-B間は差が狭まっています。晴天下の影ではB値が上昇するというのは、先日の横須賀線色とも共通しています。

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写真4

 こちらは山の遠景を含む風景です。手前の緑はほぼ写真1, 2に準じていますが、遠くに行くほどBが上昇する一方、GとRの差は開いていく傾向にあります。手前の山でほぼGとBの値がほぼ一緒になっています。それを過ぎるとBがGの値を上回り、どんどん青っぽくなっていきます。

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写真5

 こちらは日当たりの良い草原を含んだ写真です。いくら明るくてもGとBの差は10%ポイント前後~15%ポイント程度がおおむね維持されており、黄色っぽくキラキラ輝くという感じはありません。また明るく日が反射しているところではB値がかなり上昇しています。白っぽくひかる、という感じでしょうか。白っぽく光るのはB値が高めで、全体輝度も高く、黄色っぽく光るのは、全体輝度が高くてもB値が低い、と言えそうです。

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写真6

 こちらは黒々とした針葉樹を含む写真です。黒っぽい針葉樹は、日当たりの良い部分を除いてほぼRとBが同値になっています。影でB値が上昇するのと共通性があります。

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写真7

 こちらは影になった緑や木漏れ日を含む写真です。GとRの差は10%ポイント前後~15%ポイント前後が維持され、暗いところでは、明るさが低いだけではなく、Bが相対的に高まっています。晴天下の影ではB値が高いという傾向がここでも見られます。

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写真8

 こちらは夏の日に光る水田です。今までのパターンとちょっと違うのは、GとRの差が15%ポイント強あるのと、Bの値が極めて低いのが特徴です。

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写真9

 こちらは先ほどの水田を順光でとらえた写真です。GとRの差は、写真8とは異なり、10~15程度の範囲に収まっていますが、Bの値がちょっとは上昇しているものの、やはり低い (R値の1/10前後~1/5前後) のは水田の特徴のようです。GとRの差がある程度あって、B値は非常に低いというあたりが要注意です。写真補正の際に念頭に置くべき特徴といえます。家の後ろに見える庭木の類が黒々としている部分では、GとRの差が狭まるとともに、Bの値もかなり相対的に上がっています。また稲と木の明るさの差も、木は稲の半分から2/3程度の明るさになっています。

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写真10

 緑(植物)の部分全般に渡って、GとRの差は、10%ポイント前後です。Bの値の方は、草の部分と、木の部分で異なっていて、草の部分ではRの半分もしくはそれ以下、木の部分ではRの6~8割となっているとともに、そもそもの明るさも暗くなっており、木は草の部分の半分から2/3程度の明るさとなっています。