省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

自然色のリファレンス: 紺碧の空

 コロナ感染も第5波に突入し、気分の塞ぐ日常が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。東京五輪メダルラッシュだそうですが、感染の方もラッシュで... ここですっきりした青空でも見て、爽快になっていただくこともかねて、真っ青な青空のRGB値を紹介します。

 真っ青な青空を撮りたいとなると、やはり標高2000~3000m近いところまで登らないとなかなか撮れません。以下4枚の写真はフジのRealaで撮ったネガフィルム写真です。いずれもVuescanでスキャンしたTIFFファイルに対し、Raw現像ソフトで露出、コントラスト調整 (明度のトーンカーブ調整等)を行っていますが、色 (色相) は一切いじっていません。

 RGB値はRawTherapeeで測ります。なおRawTherapeeのデフォルトの作業空間はProPhotoで、かつ内部ではリニアで処理しているはずですが、出力値はsRGB式知覚的ガンマ補正を掛けたデータになっているはずです。

 このため色空間がsRGBである画像のRGB値と比べると、ミッドトーン以上では、RGB値が低めに出ている可能性があります(逆にシャドウ端では高めに出るはず)*1。ただ、色相にはRGBの比が重要かと思います。

 但しRawTherapee上の画面出力は、モニタ出力(=sRGB色空間)に合わせて調整されていますので、画面キャプチャ画像自体はsRGB準拠の画像となっています。

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写真1 南アルプス農鳥岳大門沢

 

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写真1のRGB値

 B値は8割前後、G値はB値の約半分、そしてR値が意外に高く、G値の3/4前後です。B値、R値が高めなせいか、かなり明るめの印象です。

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写真2 北アルプス白馬岳小雪渓上部

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写真2のRGB値

 こちらは空の青さが濃い群青色に撮れた写真です。B値が3割前後とかなり暗くなっています。G値はB値の6割前後、R値はB値の半分強前後です。日食でもあったかと思うぐらい暗めですが、彩度自体は意外に写真3とあまり変わらないと思います。

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写真3 富士山5合目大沢付近

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写真3のRGB値

 B値は6割台、G値はB値の6割前後、R値はG値の6割前後という関係性になっています。比較的RGB間の差は少なめです。

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写真4 白馬鑓が岳付近

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写真4のRGB値

 B値は6割前後、G値の値は低めで、B値の4割前後、R値はG値の半分弱といった傾向です。RGB間の差が大きく、彩度が最も高く、空が鮮やかです。

 最後は、近所の高尾山、最近の写真でNikon D5500で撮って、Capture NX-Dで現像したものです。よく見られる冬の青空のパターンかと思います。

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写真5 高尾山紅葉台


 

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写真5のRGB値

 B値は8割前後、G値はB値の6割前後、R値はG値の半分強です。B対G対Rが10: 6: 3強という比は、富士山の写真3に似ています。但し、写真3に比べ、明るさがより明るく青みがやや薄くなっています。私たちが普段見る中で「空が青い」と感じるのはこの辺り止まりの場合が多いように思います。

 

 以上を元に「紺碧の空」の色系列をパターン化してみました。こちらはGIMPで色を作っています(sRGB色空間)。

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紺碧の空色パターン

 縦の系列は、B: G: R比が同じ系列で、さらにBの明るさによって上~下の3パターンを作ってみました。写真2, 3, 5は一番左の系列、写真1は真ん中、写真4は一番右の系列に該当します。Rの比は切りの良いところで3にしましたが、実際は3~3.5の間ぐらいでもうちょっとRが高くても良いかもしれません。たぶん一番左の系列が濃度はいろいろあれ、比較的目にしやすい紺碧の空のパターンではないかと思います。彩度が一番高いのは一番右の系列です。なお、写真1~4のソースは同じフィルムですので、フィルム特性の差ではないはずです。

 また、空の色が白っぽくなると、B: G: Rの差が狭まってきますが、それはここでは扱いません。やはり「紺碧」と感じるにはBに対してGが6割前後以下である必要があると思います。普通の空はもっとGの割合が高いでしょう。

 写真補正の際に、紺碧の空を再現するための目安にしていただければと思います。

 

*1:広い色空間と狭い色空間の関係は次の図の様です。

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ある色の1チャンネルの明度における
広い色空間と狭い色空間での物理的色の対応関係


 同じRGB値でも色空間が変わればそれが対応する物理的色は変わります。同時に、同じ色でも、色空間が異なればRGB値は変わるということです。