省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

ART 1.11 がリリースになりました

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 ART / Another Raw Therapee のバージョン1.11がリリースになりました。

ダウンロードは以下のサイトから。

bitbucket.org 主なバージョンアップとして、トーンカーブニュートラルモードの新設、およびシャープニングの方法に、カスタムRLデコンボリューションが追加されています。さらに、Rawファイルの読み込みエンジンが、DCRawからLibrawに全面的に変わったことで、対応Raw形式も拡大しています。例えば、SigmaのX3Fファイルに対して Quattro, Quattro H も含め対応になっています (以前はQuattroは非対応でした)。これはSigmaユーザーには大きいかもしれません。またやはり非対応だったCanon 1D X Mark IIIもサポートされています。これにより、フリーのRaw現像ソフトの中では、対応カメラ数に関しては最強になったと思います。また韓国語の翻訳が正式に追加されました。

 なお、有償のRaw現像ソフト Affinity Photo も LibRawを使ってSigmaのX3Fファイルに対応していますが、その現像結果が悪く、LibRawとAffinity Photoのどちらに責任があるのかとオンラインディスカッション上で論争になったようです*1。もしSigmaのユーザがいらっしゃいましたら ART ではどうなのか、そのあたりも検証してみてください。

 

なお、LibRawのサポートカメラは次のリストをご覧ください。

バージョン0.20サポートリスト

LibRaw 0.20 supported cameras | LibRaw

新規追加サポートカメラリスト (2021.10)

LibRaw 202110 snapshot supported camera list | LibRaw

 

追記 (2021.12.14):

 ARTのオンラインディスカッションで、以下のような件が話題になっていました。

※ARTをバージョンアップしたら動かなくなった (Windows版)

 結局この方は、旧バージョンのあったフォルダに上書きで新バージョンをインストールされたようですが、動かなくなってしまったようです。これに関しては、旧バージョンとは別のフォルダにインストールしたらとのアドバイスがあり無事に解決したようです。なおインストーラーはデフォルトでバージョンごとに別フォルダにインストールするようになっているはずです。

ART 1.11 will not work on my new Win10 Notebook - ART - discuss.pixls.us

 おそらく1.11からRawを読み込むエンジンがLibRawに変更されたため、なおさら既存のファイルが残っているとトラブルが起きるものと思われます。

FUJIFILM X-T30 II のファイルが開けない

 これは、X-T30 II のRawファイルを非圧縮で保存すると開けます。圧縮で保存すると開けないようです。これはLibRawの問題だと思いますので、LibRaw側がバージョンアップで対応しない限り対応不可能です。なお、X-T30 や X-T20 では、圧縮形式で保存しても開けるようです。

ART can't open new raw files from FUJIFILM X-T30 II - ART - discuss.pixls.us

*1:以下のスレッドをご参照ください。なおAffinity Photoのオンラインサポートからは既に情報は削除されています。

www.libraw.org