本車両はもともと1936年の常磐線松戸電化用として製造されたクハニ67001です。この年本車と67002が常磐線用の荷物合造車として製造されました。このあと、横浜、総武、赤羽線用としてクハニ67は増備されますが、登場時期が早かった本車と67002のみが、リベットにシル・ヘッダー付きとなりました。
同僚のクハニ67002はずっと常磐線を動かず、1969年9月4日に新性能化で廃車になるまで常磐線一筋でしたが、本車は1951年に飯田線に転じ、便所取付並びに車内セミクロスシート化の改造を受けクハユニ56001に改番されました。
なおクハユニ56には、増備されたノーシルノーヘッダーのクハニ67から改造されたグループ、そして横須賀線用のモハユニ61として登場したものの無電装のまま使われ、そのままクハユニ56に編入されたグループがありましたが、本車の形態はたった1両のみの特異な存在でした。
直前に全検を受け、出てきたばかりの塗装の艶が目立つ姿です。
正面です。なお、正面の窓3枚ともHゴム化されていたのは本車のみでした。
改造された便所部分です。
飯田線の車輛のドアに貼られていた、ドア手動扱いを案内するステッカー。
1951年に飯田線に配備されてから、1983年6月に引退するまで、32年間飯田線の郵便・荷物輸送を下支えしました。
最後に本車の車歴です。
田中車輌製造 (クハニ67001) → 1936.11.2 使用開始 東マト → 1951.11.15 改造 豊川分工 (クハユニ56001) 静トヨ → 1958 更新修繕II 豊川分工 → 1978.10.19 静ママ → 1983.8.25 廃車 (静ママ)