省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

唯一リベット締めだった 飯田線名物合造車 クハユニ56001 (蔵出し画像)

 本車両はもともと1936年の常磐線松戸電化用として製造されたクハニ67001です。この年本車と67002が常磐線用の荷物合造車として製造されました。このあと、横浜、総武、赤羽線用としてクハニ67は増備されますが、登場時期が早かった本車と67002のみが、リベットにシル・ヘッダー付きとなりました。

 同僚のクハニ67002はずっと常磐線を動かず、1969年9月4日に新性能化で廃車になるまで常磐線一筋でしたが、本車は1951年に飯田線に転じ、便所取付並びに車内セミクロスシート化の改造を受けクハユニ56001に改番されました。

 なおクハユニ56には、増備されたノーシルノーヘッダーのクハニ67から改造されたグループ、そして横須賀線用のモハユニ61として登場したものの無電装のまま使われ、そのままクハユニ56に編入されたグループがありましたが、本車の形態はたった1両のみの特異な存在でした。

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クハユニ56001 (静トヨ) 1978.1 豊橋機関区

 直前に全検を受け、出てきたばかりの塗装の艶が目立つ姿です。

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クハユニ56001 (静トヨ) 1978.1 豊橋機関区

 

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クハユニ56001 (静トヨ) 1978.1 豊橋駅

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クハユニ56001 (静トヨ) 1977.12 豊橋駅

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クハユニ56001 (静トヨ) 1976.5 豊橋駅

 正面です。なお、正面の窓3枚ともHゴム化されていたのは本車のみでした。

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クハユニ56001 (静トヨ) 1976.5 豊橋駅

 改造された便所部分です。

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クハユニ56001 (静ママ) 1983.6 三河槙原駅

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クハユニ56001 (静トヨ) 1976.5 豊橋駅

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クハユニ56001 (静トヨ) 1976.5 豊橋駅

 飯田線の車輛のドアに貼られていた、ドア手動扱いを案内するステッカー。

 1951年に飯田線に配備されてから、1983年6月に引退するまで、32年間飯田線の郵便・荷物輸送を下支えしました。

 

最後に本車の車歴です。

田中車輌製造 (クハニ67001) → 1936.11.2 使用開始 東マト → 1951.11.15 改造 豊川分工 (クハユニ56001) 静トヨ → 1958 更新修繕II 豊川分工 → 1978.10.19 静ママ → 1983.8.25 廃車 (静ママ)