今年に入ってLinux (Ubuntu) および Mac OSをいじるようになりましたが、これらのOS上でWineを使って Windows対応アプリケーションを動かすようになりました。これがなかなかしっかり動いてくれるので、ここでちょっとWineのインストールや活用についてまとめてみたいと思います。
今までだと、LinuxやMac OS 上でWindowsアプリケーションを使う場合、例えば PC の仮想環境を構築してそこにWindowsをインストールするとか、Mac の場合 Intel版ですと Boot CampというWindowsとMac OSのデュアルブート環境を作るツールが提供されていました。これは実質的にIntel版のMac はハードウェア的には通常のPCとほぼ変わらないから可能でした。
Wineは WindowsのAPIをエミュレートして翻訳してインストールされているOSに指令を渡す環境なので、オリジナルのOSとシームレスでWindowsアプリが使えます。ファイルのドラッグ & ドロップも有効です。つまりOSネイティブなアプリとあまり変わらない感覚で使えるのです。但し、エミュレートできるWindows APIはすべてではないので、アプリケーションによっては動きません。Windowsの最新のAPIを使っているような複雑なアプリでは動かない可能性があります。MIcrosoft Officeだと2013なら動くらしいですが、おそらく最新のOfficeは無理でしょう。一方、ARTの様にクロスプラットフォームのオープンソースのアプリケーションは、Windowsの特殊なAPIに依存していないと思いますので安定して動く可能性が高いです。ART は安定した Mac OS版バイナリーが供給されていませんが、Wineを使うと、Mac OS上でかなり安定して使えます。
このほか個人的には、秀丸とIrfanviewを、Wine経由でUbuntuとMac OS上で動かしていますが、今のところ特に問題なく使えています。
Wineは、基本的にコマンドラインから使うツールなので、インストールしてもGUIのメニューに出てきません。そして、Windows対応アプリを使う時は、基本はコマンドラインから wine windowアプリの実行ファイル名 を指定することで、windowsアプリを動かします。ただ、プログラムのエイリアス (リンク) を作ることで、windowsベースのアプリをGUIベースで起動することができます。
また、Windowsアプリのインストールは、コマンドラインから、wine インストーラファイル名 を指定することでインストールすることができます。インストール先は、各ホームディレクトリの下に、
.wine/C_Drive
というディレクトリができ、これがちょうど仮想的にWindowsのCドライブの役割を果たします。従ってインストーラを動かすと通常は、.wine/C_Drive/Program Files/ 以下にWindowsアプリがインストールされます。しかもリンクまで自動的に作ってくれます。そしてOSの通常のディレクトリはWindowsアプリから見ると、Z: ドライブ 以下にマウントされているように見えます。
なお、万一環境を飛ばしてしまった場合は、.wine 以下をすべて削り、再度 Wine を実行すると、.wine/C_Drive 以下を再構築してくれるようです。
Wineの最新版は、Ver.7 ですが、Ubuntu 22.04に対応したWineの安定版は Ver. 6となっています。安定版を入れるには、Ubuntu ソフトウェアから検索していれるか、基本的には
sudo apt install wine
で、インストールできます。
Ver. 7を入れたい方は、例えば以下のサイトをご覧ください (筆者の方では未検証です)。
・アプリケーションソフトのインストール
Windowsのインストーラーをダウンロードし、適当なディレクトリにコピーします。
ターミナルコンソールで、カレントディレクトリをそのディレクトリに移してから
wine インストーラーファイル名
で、インストーラが起動し、メニューのアイコンまで一気に作ってくれます。
Mac OS では Wine crossover を使います。しかし、これには商用版の Crossover Mac とオープンソース版の Crossover 21 があり、バイナリーファイルの商用版は年$59がかかります。ただ、Wine crossoverのソースコード自体は無料で公開されていますので、自分でソースコードからコンパイルしたり、商用版とは別にbuildしたものなら無料です。homebrewを使ってインストールすると商用版とは別buildになりますので、無料で使えます。
Mac OSでのWineのインストール方法は、ARTをMac OSにインストールする方法を案内した記事に書きましたので、そちらをご参考ください。
yasuo-ssi.hatenablog.com また、アプリケーションソフトのインストールの仕方も、基本Linux と同じですが、エイリアスの作り方だけ異なります。これも上記記事をご参照ください。
なお、ソースコードから Crossover 21 をコンパイルする記事をアップされている方がいらっしゃいました。私の方では未検証ですが、ご参考に。
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Wine公式ページ
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[追加関連情報]