省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

Bチャンネル再建法 技術解説: 周辺部等の情報抜け青紫化褪色の補正技術

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[お知らせ]

 この記事は、「決定版! 不均等黄変・褪色ネガ写真のデジタル補正術 (6-1)」より、内容整理のため、周辺褪色補正の技術解説を独立させ、内容を補訂したものです。

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周辺部の青紫化褪色はどう修正するか

 ここで取り上げるのは、周辺部の青紫化が修正しきれなかったり、褐色部分の青紫化が取り切れないケースです。フィルムによっては、Bチャンネルの損傷が激しいため、黄変部と周辺の青紫化の落差が激しいものがあります。

 このような青紫化褪色は Bチャンネルが明るい方向へ褪色し、Bチャンネルの情報が抜けてしまうために発生します。従ってこれを修正するには他チャンネルから情報を流用して、消失もしくは消失しかかっている Bチャンネル情報の復元を行います。

 そのために、2021.1にバージョンアップしたImageJ用プラグインから、周辺部青紫化補正のため周辺部分補正レイヤー作成用のマスク素材画像 [ファイル名]_Periphery_Adjst_Mask.tif を出力するように変更すると同時に、この補正をBチャンネル再建補正過程に組み入れています。

 この周辺部補正レイヤー用画像の作成方法ですが、2022年7月のアルゴリズム見直し以降、以下の方法で作成しています。

 まずレファレンス画像として、RチャンネルとGチャンネルを混合した画像を作成します。このレファレンス画像に対して、Bチャンネルがどれほど明るくなっているかを計算した補正値画像を、拡張擬似フラットフィールド技法を使って、求めます。次にこの補正値画像の分だけ、オリジナルのBチャンネル画像から値を差し引いた (暗くした) 画像を求め、これを周辺部補正用素材画像とします。

 つまり、直接R+Gチャンネル画像を補正素材とするのではありませんが、間接的にR+Gチャンネルの値を基準にして、Bチャンネルをより暗くした画像を周辺部補正用素材画像としています。なお、2022年7月以前は、R+Gチャンネル画像をそのまま補正用素材としていました。

 例えば以下のサンプル画像に対し Bチャンネル再建法ツールを走らせると...

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補正前 オリジナル

以下のような周辺補正用素材ファイルが得られます。

***_Periph_Adjst.tif ファイル

 このファイルはG+R画像をレファレンスとして作った画像なので、そのままBチャンネルとして転用するのは不適切です。例えば、青色の塗装の色がかなり暗くなっています。もともと青いはずなのでもっと明るくなければなりません。しかし、周辺部分のみは、明るく褪色したBチャンネルの補正に転用できます。

 従って、周辺のみを透過し、中心部は不透過としたマスクを掛けて補正に使うことにするわけです。このようなマスクとして、例えば以下のようなマスクをフルスクラッチで作っても良いのですが...

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周辺部のみに補正を効かせる 周辺褪色補正レイヤー用マスク例

 それよりも、これと同時にマスクの原稿となる以下のような画像を出力しておき....

周辺補正レイヤー用マスク原稿ファイル
****_Periph_Adjst_Mask_tif

 これをベースにして以下のようなマスクを編集して作成すると、2枚上の人工的なマスクより、非補正部分とのつながりがより自然になるマスクが作れます。因みに上の原稿ファイルは、補正用素材マスクとオリジナルのBチャンネルを比較し、オリジナルがより明るい (=より青い) 部分を白く表現した画像です。

 下がその編集例ですが...

周辺部補正マスクの編集

 このマスク原稿ファイルを上記のように編集して、周辺補正レイヤーを適用しない部分を黒塗りにします。補正用素材画像に、この編集した周辺部補正マスクを掛けると、以下のような補正用レイヤー画像が得られます。

上の補正マスクに基づく、周辺補正レイヤー画像

 このレイヤーを重ねることで、周辺部の青すぎる部分を、B値を引き下げて修正することができます。また、このレイヤーの濃度が濃すぎる場合は不透明度を調整して濃度を調整します。

 なお、周辺補正レイヤーと他部分のつながりが悪い場合の対策については、以下の記事をご覧ください。

yasuo-ssi.hatenablog.com