darktable のオンラインディスカッションの中で、最近の物価高で Lightroom から darktable への乗り換えを検討している方からの提起で、なぜ darktable はカメラ内現像の絵を起点としないのか、というスレッドが立っています。そのなかでゼロから絵作りを要求されるのは理不尽だという議論に対して、以下に、「darktable で簡単に使える画像を得る方法」という記事を公開しているよ、という投稿をされた、Mark Adams さんという方がおられます。
その内容を紹介します。
手順としては、
1) まず、プリセットからシーン参照ワークフローを選択
2) 編集対象ファイルを開く
3) クイックアクセスパネルを開いてそこから...
4) まずレンズ補正を行う
5) 次に露出調整を行う
6) カラーバランスRGBで、全体の彩度(サチュレーション) を一旦50%に引き下げ、全体の彩度(クロマ)を25%に設定
7) フィルミックRGB に移り、黒の相対露出値を自動調整し、引き続き白の相対露出値を自動調整する
8) ローカルコントラストに移り、調整量を 150% に設定
※現在のバージョンではパラメータが細分化しているが、おそらくディティールを150%にすればよいと思われる。
9) 以上で得られた絵を起点として、画像の調整を行う。
もし、darktable での絵作りに悩んでおられる方がいましたら、試してみてはどうでしょうか。なお、これはシグモイドモジュール導入前の記事ですので、シグモイドモジュールを使うとまた別のマニュアルがありうると思います。
なお、シグモイドモジュールだとフィルミックRGBよりも、編集の起点になる画像が得られやすいという声が多いです。
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なお、手持ちの画像で試してみました。Raw 現像ソフトに読み込むと、結構 Raw の Jpeg プレビューイメージと色が変わりやすい画像です。カメラは Nikon D5500 です。
まずプレビューイメージです。
色は適正に思えます。
次に darktable 読み込みデフォルト状態です。
空を中心にマゼンタの偽色が出ています。ブルーの帯もちょっとくすんだ感じです。
そして推奨通りに変えた状態です。調整中一旦空の偽色は消えましたが、フィルミック RGB で白の相対露出値を自動調整したところで再び偽色が出てしまいました。結局クリップアウトしたハイライトの再構成で フィルミック RGB は問題があるものと思われます。ハイライトをクリップアウトさせて撮る方が悪いと言われればそれまでですが。なお、オンラインディスカッションでも、フィルミック RGB はクリップアウトしたハイライトで偽色が出やすいという指摘があります。
そこで、フィルミック RGB をオフにしてシグモイドに変えてみました。
シグモイドに変えただけでかなり偽色が減り、さらに傾きを上昇させるとかなり改善しました。ただブルーの帯はややくすんだ感じで、Jpeg のㇷ゚レビュー画像とはだいぶ感じが異なりますが、これはこれで別の正解に思われます。これでこそ darktable の存在意義があるというものです。雨交じりの夕方の雰囲気が良く出ています。
このケースではフィルミックRGBの副作用が大きいようです。ただ画像によってはフィルミックRGB でも OK な場合があり一概に言えません。
ネットの声にあるようにシグモイドの有効性は高いように思います。上のマニュアルもフィルミックに代えてシグモイドをつかうことを考慮したほうがよいかもしれません。ちなみにシグモイドがどのような計算を行なっているかについて、こちらに情報があります。
なお、いちどこのレシピを確定させたらライトルーム上でスタイルとして保存しておき、次回現像の際に呼び出すようにすれば、便利かと思います。
ちなみに、参考までに ART でのデフォルトの読み込み結果。
若干青帯のニュアンスが異なります。darktalbe のデフォルト (フィルミックRGB適用) とは異なり偽色が出ません。
Adobe の DCP プロファイルで D5500 flat にその LUT を適用してみました。まずまず プレビューイメージに近いところに来たように思います。編集の出発点としては十分でしょう。なお、この画像の場合、D5500 standard より flat の方が、プレビューイメージに近いようです。
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以下の記事もご参照ください。
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