省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

フィルム写真補正に役立ちそうな ARRI LUT 適用例 - ART

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 以前、ARTにおける、ARRI の LUT の使い方について紹介しました。

yasuo-ssi.hatenablog.com

 今回は、フィルムをスキャンした写真に対して、ARRI の LUT を当ててみた事例を紹介します。デジタルカメラデータとフィルムスキャンデータではかなり異なりますので、敢えてサンプルを掲げてみました。あまり極端なカラーグレーディングを行うLUT は省いています。サンプルは画像の色調調整に苦しんだ以下のファイルです。フィルムシミュレーションではなく、カラー/トーン補正のLUTモードで適用しています。フィルムシミュレーションでも使えますが、カラー/トーン補正だとシーン参照、フィルムシミュレーションだとディスプレイ参照の色空間での適用になりますので、効果のかかり方がちょっと変わってきます。

 なお、ここでのサンプルに対しては、適用量の調整を行っていませんが、もっと弱めたり、適用領域を限るなど、調整を行うこともできます。このサンプルでは効果が極端すぎるように見えても、効果を弱めると良い感じに仕上がる場合もあります。

ARRI の LUT を使う場合の参考にご覧ください。

LUT適用なし

5110 Nature

 個人的には最もよく使います。困ったら 5110 を一旦使ってみます。特に青空、ブルーライトの色合いが良くない場合、改善に効果があります。

5111 Nature

 5110では効果が弱いと思われる場合は、これを使います。全般に青みが足りない場合は Film A を使う場合もあります。

5230 Saturated

5220 Desaturated

5130 Suburban

5131 Suburban

5120 Vibrant

 5111 Nature に似ています。

6111 Warm

6210 Spring

 これも結構使えそうです。

6220 Sommer

 この LUT の名称は私のタイプミスではありません。

6230 Autumn

6240 Winter

6310 Pastel

これも強調感が少なくナチュラルな補正を目指すなら良い感じです。

7110 Low Contrast

7111 Low Contrast

 7110よりは G に寄っています。

7120 High Contrast

7121 High Contrast

8130 30s

8190 90s

 年代シリーズは、古いほうがややセピア寄り、新しいほうはややクール寄りのようです。

2110 Commercial

 この画像の場合は緑に寄り過ぎのようです。

2120 Fashon

 2110 より緑色の誇張感がありません。

2130 Beauty

 これも使えそうです。

3110 FilmA

 全般的に青みを増したり、青みを調整したいときはよく使います。青空と新緑のコントラストを強めるという時に効果があるようです。青空をやや藤色の方向に、また黄緑をやや黄色味が強い方向に変えるような印象ですが、この画像にはちょっと合わないようです。青系をやや藤色に寄せる効果が逆効果と思われます。

3111 FilmB

3112 FilmC

3113 Film D

3114 FilmE

 Fashon をおとなしくしたような感じです。

3150 Film process - bleach bypass

 bleach bypass とは日本語で言う「銀残し」です。渋い方向に調色します。

3211 Vintage

3230 Retro

 Vintage, Retro とも新しいデジタルカメラ画像を古い写真に (つまりこのサンプルのオリジナルのような写真に) 見せる LUT ですが、ここでは古い写真を新しく見せたいので、目指している方向とは反対です。

3241 Faded

 全般的にもやが掛かったようになります。