ARTのカラー/トーン補正にVer. 1.16から LUT モードと clf形式のLUTのサポートが追加されましたので、試してみました。Griggio 氏は映像業界で使われている高精度のLUT (ルックアップテーブル) が使えると強調していたので、ARRI の業務用ビデオカメラ、Alexa 用の3D LUTをダウンロードして使ってみました。
ダウンロード先はこちらです。
www.arri.com この中に、Alexa 35 3D - Lut - Package というのがありますので、とりあえずダウンロードしてみました。ダウンロードしてみると、ファイルがいっぱいあってどれがどれだか分かりません。
とりあえず、空いているUSBメモリに片っ端から解凍したものをコピーしました。次に、ARTのホームページから ociomakeclf.exe をダウンロードして同じディレクトリに置きます。
これをいちいち手で変換していると面倒なので、例えば convert.bat という名前で、これを片っ端からコンバートするバッチファイルを作ります。中身は以下の通りです。
@echo off
for %%i in (*.cube) do ociomakeclf.exe "%%i" "%%i".clf --csc ARRI_ALEXA-LOGC-EI800-AWG
このままコピペして作ってください。
そうしたら、Windowsのコマンドプロンプトを起動し、カレントディレクトリを、LUTとociomakeclf.exe のあるディレクトリにします。
そして、
convert.bat
と打つと、cube形式のLUTがclf形式に一挙に変換されます。
変換したclfファイルを適当なディレクトリにコピーし、ARTを起動して、カラー/トーン補正をLUTモードにし、変換したclfファイルのどれかを読み込ませると、LUTが適用されます。
以下サンプルです。
まずオリジナルです。
どれがどれだか分からないので、適当にLUTを適用します。
これはなかなかいい感じです。
なお、上の事例ではカラー/トーン補正のLUTモードで読ませていますが、フィルムシミュレーションでも同様に読ませることができます。
自分のRaw現像結果の色調が微妙に気に入らないという方は、かなりたくさんLUTがありますので、これは試す価値があると思います。もちろん、RawPediaからダウンロードできるフィルムシミュレーションのLUTも良いのですが、あくまでもフィルムの色合いを再現するという目的ですので... また、G'MIC にあるLUTはどちらかというとお遊びというか、特殊効果的なLUTが多いですが、ARRIのLUTは、非現実的な特殊効果よりも、映像(や写真)の微妙な調整のためのLUTが多いので、活用余地も大きいと思います。
なお、darktable はARTより多いファイル形式のLUTに対応していますが(こちらの記事をご参照ください)、LUTの意図している色空間と、自分が編集している画像の色空間のマッチングが問題になります。その点でARTが一歩有利になりました。
微妙に空の色が違う... とか、植物の緑が違う...とRaw現像に悩むような場合大いに力を発揮しそうです。
なお、現像済みのファイルに適用するとかなり極端な結果となりますので、使うなら効果を大幅に弱めて使うべきです。
他に ociomakeclf.exe が使えるLUTがダウンロードできそうなサイトは...
RED
https://support.red.com/hc/en-us/articles/360041467533-RED-LUT-Downloads
なお、ARRI以外のLUTを使う場合は当然 ociomakeclf.exe のオプションを変えなければなりません。
--------------
関連ページ