ここで、Linux 上でフリーで使えるフォントの個人的おすすめをまとめてみます。日常的に使える、比較的オーセンティック、かつぜひ入れておきたいというフォントを、個人の好みで紹介します。
なお、Kubuntu の場合 (おそらく Ubuntu 系はどれでも) システムフォントのインストール場所は基本的に
/usr/share/fonts
オプションでインストールする場合は、
/usr/local/share/fonts
特定のユーザのみで使いたい場合は、
~/.local/share/fonts
にインストールするのが基本のようです。
[欧米系フォント]
・Microsoft Fonts
Microsoft が自社が著作権・頒布権を持つ Windows の基本的な書体を、Linix で使えるよう無償で提供しています。Windows 上で作られた文書を交換しないということはほぼないと思いますので、導入は必須かと思います。
sudo apt-get install msttcorefonts
で、導入できます。
[日本語 明朝系]
・Noto Serif CJK JP
Google や Adobe などが共同で開発し無償で配布している明朝フォント。Noto は No Tofu の略で、フォントのないコードの文字が □ で豆腐のように表示されることから、豆腐表示をなくせ (No Tofu) ということで開発された国際フォントのグループです。CJK は Chinese, Japanese, Korean の略で、東アジア言語文字のフォントの意味でその日本語版が、CJK JP ということです。いまおそらくどの現役の Linux のディストロの日本語版では必ず含まれていますので、導入方法などは省略します。
なお、Adobe が配布している源ノ明朝は異名ですが同書体です。但し微妙に文字間の間隔等が異なるようです。どちらでも構わないと思います。
・IPA / IPAex 明朝
文部科学省の外郭団体 IPA が開発し無償で配布しているフォント。すべて等幅の IPA 明朝、日本語部分は等幅、欧米語部分はプロポーショナルの IPAex 明朝およびすべてプロポーショナルの IPA P 明朝があります。Noto の CJK フォントは大きさが、游明朝などと同じで若干文字の大きさや幅が大きめですが、こちらは MS 明朝などと同じでやや小ぶりです。Linux 上のソフトウェアによっては、日本語 Serif 系のデフォルトフォントにこれを想定している場合があります。これも必須フォントと言って良いでしょう。
配布先は以下です。
IPA Font ダウンロード | 一般社団法人 文字情報技術促進協議会
また Ubuntu では以下のコマンドでも入手可能です。
$ sudo apt install fonts-ipafont
$ sudo apt install fonts-ipaexfont
・IPAmj 明朝
姓氏などに使われる異体字漢字を入力するためのフォント。やはり IPA が開発しています。このフォントで異体字漢字を入力するには、異体字漢字を扱う仕組みである、IVS 規格に入力するソフトウェアが対応している必要があり、この点では、Linux では Libre Office 一択になります。またゴシック体はありません。配布先は以下です。
IPAmj明朝フォント | 一般社団法人 文字情報技術促進協議会
そもそも IVS とは何かについては、
yasuo-ssi.hatenablog.com また IVS を使った文字入力方法については、
yasuo-ssi.hatenablog.comをご覧ください。
・BIZ UD 明朝 / BIZ UD P 明朝
タイプバンクが開発しモリサワが無償で配布しているフォント。現在では、Google フォントからも入手可能です。視認性の良い書体を採用している点、そして文字のサイズのみならず文字の間隔もほぼ MS 明朝と同じです (IPA フォントは文字間隔が異なっているのでレイアウトずれが発生することがあります)。Windows 上で MS 明朝を使って作成された文書を、ワープロソフトの代替フォント指定でこのフォントを指定しておくと、レイアウト崩れを極力抑えることができます。これもWindows 環境と文書交換を行う場合は、必須フォントと言って良いでしょう。入手先は...
価格・製品詳細 | MORISAWA BIZ+ | フォント製品 | 製品/ソリューション | 株式会社モリサワ (下の「無償版」を見てください)
および Google Fonts から入手可能です。
・ZEN Old 明朝
個人的には Windows の游明朝が好きなんですが、それに次ぐオーセンティックな明朝体ということでお勧めしたいのがこちらです。複数のウェイトも揃っています。
Google Fonts から入手可能です。
他に擬古体風明朝フォントとか色々ありますが、普段遣いのフォントとしてはこんなところかと。
[日本語 ゴシック系]
・Noto Sans CJK JP
やはり Noto 系のサンセリフフォント。Noto Serif CJK JP と同様、最近の Linux で日本語設定にするとたいていデフォルトで入ってきます。フォントデザインもまずまずです。やはり Adobe の配布している源ノ角ゴシックも同書体です。
・IPA / IPAex ゴシック
IPA 明朝とセットになっているゴシック体です。一部のアプリケーションでは、IPA ゴシックが UI フォントの前提となっている場合があり、入っていないと表示上問題が生じる場合があります。Noto Sans CJK JP は文字がやや大きめなのでアプリケーションによっては問題が生じる場合がありますので、その代替として有用です。書体も比較的オーセンティックで悪くありません。これも必須フォントだと思います。
yasuo-ssi.hatenablog.com 入手先は IPA 明朝と同じです。
・BIZ UD ゴシック / BIZ UD P ゴシック
BIZ UD 明朝とコンビになる書体です。そして文字のサイズのみならず文字の間隔もほぼ MS ゴシックと同じなため、Windows 上で MS ゴシックを使って作成された文書を、ワープロソフトの代替フォント指定でこのフォントを指定しておくと、レイアウト崩れを極力抑えることができます。これもWindows 環境と文書交換を行う場合は、必須フォントと言って良いでしょう。
入手先は、モリサワの上で紹介したサイトと、Google フォントから入手できます。
[日本語 教科書体]
・Klee One
教科書体としては唯一のフリーフォントで、フォントワークスが開発した書体です。ウェイトは標準とセミボールドがあり、標準はやや細身です。個人的には結構好きな書体です。Google フォントから入手可能です。
このほか趣味性の高いフォントは色々ありますので、各自お探しください。
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[参考サイト]