こちらはスキャンしたところ真っ黄色になってしまった写真です。他の方のサイトで、やはり真っ黄色になった写真が掲載されていることから、フィルムスキャナを使った場合に起こりうる、ある程度普遍的な現象のようです。実はこの写真以前黄変ネガの補正の研究を始めた時にいろいろ補正して試したことのある画像ですが*1、不均等黄変補正技法の開発もほぼ確立してきたので、再度補正をやり直してみました。
まず、オリジナルです。
真っ黄色になっていますが、これはネガ自体が真っ黄色になっているというよりはスキャナの過剰補正 (あるいはスキャナドライバのバグ) の影響ではないかと思います。というのは同時にスキャンしたコマには、不均等黄変は認められましたが、これほど全面的に黄色くはなっていませんでしたので。
この画像を一旦、Raw現像ソフトのARTに読み込みホワイトバランス調整を掛け、16bit TIFFファイルで出力します。それが以下です。
ホワイトバランスを補正してみると、単純に黄色になっているわけではなく、空を中心に不均等に黄変しているのが分かります。このコマの前後のコマも、やはりこの程度の不均等黄変が認められました。そこでBチャンネル再建法を適用します。この詳しい過程は省略しますので、本サイトにあるマニュアルをご覧ください。
これを適用して出力した結果が以下です。
空の黄ばみはかなり消えましたが、左端にマゼンタの汚れがあります。また全般的に画像がマゼンタに寄っているようです。そこで相対RGB色マスク作成ツールを使い、マゼンタ汚れを除去するためのマスク画像を作成します。
マスクができたら、GIMPに読み込んでいたBチャンネル再建法適用後の画像のレイヤーを複写し、複写した画像に上のマゼンタ汚れ除去用マスクを掛けます。
マゼンタ汚れ補正用レイヤーの緑チャンネルをトーンカーブを使って引き上げます。
Rも若干引き下げたほうが良いかもしれません。それに全般的にマゼンタがかっているので、マスクを掛けていないレイヤーにグローバルにGチャンネルをやや引き上げ、Bチャンネルも若干引き上げます。
以下補正がおおむね終了した状態です。
これを一旦TIFFファイルで出力します。
これをARTで読み込みます。
トーンカーブを使ってコントラストを補正します。また全般的にやや青みがかりすぎているので、カラー/トーン補正を使って全般的にごく僅か黄色い方向に傾けます。
これです! これこそまさに往年の富士急カラーの再現です! これで出力します。
かなり完璧に近い色補正ができました。
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