ARTのオンラインフォーラムの以下のページに、ARTを使って、デジタルカメラでネガフィルムを撮ったRawファイルをポジ転換しホワイトバランス調整まで行っていく編集過程の、作者である A. Griggio氏によるスクリーンキャプチャ動画が掲載されています。ポジ転換自体は比較的簡単にできるものの、その後のカラー調整でどうやるべきか悩んでいらっしゃる方もおられると思いますので、ご参考にご覧ください。
なお、当然ながらスクリーンキャプチャ動画では、使っているモジュール名が英語になっていますので、以下使っているモジュールの日本語名を記しておきます。またどのようにパラメータを設定したらよいか困っていらっしゃる方もいらっしゃると思うので、参考までに動画の中で設定されている数値パラメータ値も記録しておきます。もちろんネガフィルムのタイプや現像液が異なれば、そのまま使えませんが、参考までに。
なおサンプルでは画像の中にパーフォレーション枠も写り込んでいましたが、写り込んでいない場合は、同じ露光条件で、同じフィルムの未露光のコマを別途写しておいて、そこから値を取得することで、代替可能です。
ネガフィルム
・フィルムベース色の取得
→パーフォレーション枠部分をピックアップしてフィルムベース色を調整
R: 2839.3 G: 3336.2 B: 1628.7
・ニュートラルポイント(無彩色点)のピックアップ
→無彩色点をピックアップしてホワイトバランスを調整
基準指数: 1.5 レッドの比率: 1.22 ブルーの比率: 1.037
↓
回転
・直線選択ツール
→傾きを補正
↓
切り抜き
・セレクト (範囲選択)
→パーフォレーション枠部分を除外
↓
ロック式カラーピッカーの設置
→調整するカラーの値をモニタするため
↓
ホワイトバランス
RGB乗数調整
→ 最終的に ブルー 2.6 レッド 0.55に調整 (グリーンは 1.0 のまま)
↓
チャンネルミキサー
原色補正
→ ブルー原色 色相 -59 彩度 -86 グリーン原色 色相 63 彩度 59 (レッドは動かさず)
↓
トーンカーブ
フレキシブル
↓
ソフトライト
→ 値はデフォルト値 (30) のまま適用
↓
ホワイトバランス
色温度調整
→ 色温度 2968
なお、Griggio氏はいきなり、ホワイトバランスのRGB乗数調整でブルー 2.6 グリーン 1.0 レッド 0.55 という値を使っていますが、これは、おそらく元のフィルム/印画紙のRGB感度の違いに対応しているのではないかと思われます。フィルムによっては多少値が異なるとは思いますが、ブルーが最も高く、グリーンが中間、レッドが最も低い値を適用するのが適当ということかと思います。Griggio氏は、無彩色点のピックアップである程度近い値を得ることができるとは言っていますが。
またチャンネルミキサーで原色補正を使っているのは、そういう手があったか、という感じです。このあたりのホワイトバランス、カラーバランスの微調整はGriggio氏も経験が必要で複雑なので、簡単にこうすればよいというのは言いにくいと言っています。
サンプルに使っているRawファイルは以下のページからダウンロード可能です(元記事は darktable のネガドクターに関するものです)。
なお、同じページに他にも様々な処理過程のサンプルスクリーンキャプチャ動画がありますので、ご参考に。