過日 darktable の日本語翻訳ファイルの作成法について解説しましたが、その後 GIMP も Poedit を使って翻訳ファイルを作っていることが分かりました。
GIMPに関しては、Linux の Window環境である、GNOMEの日本語翻訳チームのメンバーである、sicklylife 氏という方が翻訳を担当されているようです。基本的に、GIMPの日本語翻訳はGNOMEの日本語翻訳チームがメンテナンスを行っているようです。ただ、おそらくGNOME本体の翻訳がお忙しいのか、随所に未翻訳部分が散見されます。
幸いGIMPは公式翻訳ファイルに darktable のようなハードルを設けていないようですので、未翻訳部分が結構あるからといって、公式翻訳からはじかれることはありませんが、気になる方はいらっしゃるかもしれません。そこで、他力本願ではなく、自力更生で日本語化を進める方法を紹介します。Linux 使いでなくても翻訳ファイルが作れると思います。
まず、GIMPのソースコードを入手します。サイトは以下です。
https://download.gimp.org/mirror/pub/gimp/v2.10/
GIMP 2.99 (開発バージョン) ソースコードダウンロードサイト
https://download.gimp.org/mirror/pub/gimp/v2.99/
ソースコードを解凍しますが、Linux 標準の圧縮形式 (tar.bz2) になっていますので、これらを解凍できるアーカイバが必要です。7-zip や Explzh などが対応しています。7-zipの場合、解凍したものをさらに解凍する2回の解凍ステップが必要です。
以下、Ver. 2.10 に準拠して説明していきます。ソースコードを解凍すると po, po-libgimp, po-plug-ins, po-python, po-script-fu, po-tips というフォルダが出てきますが、その中に ja.po というファイルがあります。なお、テンプレートである pot ファイルは見当たりませんでした。darktable に比べてかなり複雑です。
これを Poedit を使って翻訳していきます。Poeditの導入方法や使い方については、先日のdarktable の翻訳方法を紹介した記事をご覧ください。
これらの po ファイルを読み込むと、結構赤字部分や未翻訳部分が見当たります。そこで追加翻訳を行います。翻訳が終了したら、これらを mo ファイルにコンパイルします。以下の各フォルダにあった ja.po コンパイルしたmo ファイル (ja.mo) を、それぞれその下にあるように改名します。
ja.poファイルがあったフォルダ
po, po-libgimp, po-plug-ins, po-python, po-script-fu, po-tips
↓
改名すべき名前
gimp20.mo, gimp20-libgimp.mo, gimp20-plug-ins.mo, gimp20-python.mo, gimp20-script-fu.mo, gimp20-tips.mo
改名したファイルを、Windowsの場合は、以下のフォルダに置きます。
C:\Program Files\GIMP 2\share\locale\ja\LC_MESSAGES
Mac OSその他でも同様のフォルダ (ディレクトリ)があると思います。なお、うまくいかない可能性もあるので、念のためファイルは上書きせずに、前のバージョンの mo ファイルはどこかにバックアップしておきましょう。
これでGIMPを再起動すると、うまく日本語ファイルが適用されているはずです。とりあえず po フォルダにあった ja.po を修正しコンパイルし適用した結果です。
とりあえず、英語だった Shadows, Highlits, Common という部分がシャドウ、ハイライト、共通と日本語化されました。しかし、その下の、Shadows, Shadows color adjustment などという部分がまだ翻訳できません。これは po フォルダ下の ja.po ファイルでは、それらしいキーが見つからなかったためです。 他のフォルダにある po フォルダを翻訳しないといけないのか、それとも、そもそも翻訳するためのキーが欠けているのか、よく分かりません。potファイルが見当たらないというのも気になります。またソースコードに po ファイルが見当たらない mo ファイルがバイナリーにありますが、これらはGNOMEやGtkから来るようです。
なお、GIMPのファイル翻訳の全貌を理解していないので、この記事を書いた後アップするかどうか迷っていたのですが、とりあえずアップします。