省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

GIMPの日本語翻訳ファイル作成法

 過日 darktable の日本語翻訳ファイルの作成法について解説しましたが、その後 GIMP も Poedit を使って翻訳ファイルを作っていることが分かりました。

 GIMPに関しては、Linux の Window環境である、GNOMEの日本語翻訳チームのメンバーである、sicklylife 氏という方が翻訳を担当されているようです。基本的に、GIMPの日本語翻訳はGNOMEの日本語翻訳チームがメンテナンスを行っているようです。ただ、おそらくGNOME本体の翻訳がお忙しいのか、随所に未翻訳部分が散見されます。

f:id:yasuo_ssi:20211126082915p:plain

GIMPの翻訳部分と未翻訳部分の混在

 幸いGIMPは公式翻訳ファイルに darktable のようなハードルを設けていないようですので、未翻訳部分が結構あるからといって、公式翻訳からはじかれることはありませんが、気になる方はいらっしゃるかもしれません。そこで、他力本願ではなく、自力更生で日本語化を進める方法を紹介します。Linux 使いでなくても翻訳ファイルが作れると思います。

 まず、GIMPソースコードを入手します。サイトは以下です。

GIMP 2.10 ソースコードダウンロードサイト

https://download.gimp.org/mirror/pub/gimp/v2.10/

GIMP 2.99 (開発バージョン) ソースコードダウンロードサイト

https://download.gimp.org/mirror/pub/gimp/v2.99/

 ソースコードを解凍しますが、Linux 標準の圧縮形式 (tar.bz2) になっていますので、これらを解凍できるアーカイバが必要です。7-zip や Explzh などが対応しています。7-zipの場合、解凍したものをさらに解凍する2回の解凍ステップが必要です。

 以下、Ver. 2.10 に準拠して説明していきます。ソースコードを解凍すると po, po-libgimp,  po-plug-ins, po-python, po-script-fu, po-tips というフォルダが出てきますが、その中に ja.po というファイルがあります。なお、テンプレートである pot ファイルは見当たりませんでした。darktable に比べてかなり複雑です。

 これを Poedit を使って翻訳していきます。Poeditの導入方法や使い方については、先日のdarktable の翻訳方法を紹介した記事をご覧ください。

 これらの po ファイルを読み込むと、結構赤字部分や未翻訳部分が見当たります。そこで追加翻訳を行います。翻訳が終了したら、これらを mo ファイルにコンパイルします。以下の各フォルダにあった ja.po コンパイルしたmo ファイル (ja.mo) を、それぞれその下にあるように改名します。

ja.poファイルがあったフォルダ

po, po-libgimp,  po-plug-ins, po-python, po-script-fu, po-tips

  ↓

改名すべき名前

gimp20.mo, gimp20-libgimp.mo, gimp20-plug-ins.mo, gimp20-python.mo, gimp20-script-fu.mo, gimp20-tips.mo

 改名したファイルを、Windowsの場合は、以下のフォルダに置きます。

C:\Program Files\GIMP 2\share\locale\ja\LC_MESSAGES

 Mac OSその他でも同様のフォルダ (ディレクトリ)があると思います。なお、うまくいかない可能性もあるので、念のためファイルは上書きせずに、前のバージョンの mo ファイルはどこかにバックアップしておきましょう。

 

 これでGIMPを再起動すると、うまく日本語ファイルが適用されているはずです。とりあえず po フォルダにあった ja.po を修正しコンパイルし適用した結果です。

f:id:yasuo_ssi:20211126121700p:plain

翻訳を追加した結果

 とりあえず、英語だった Shadows, Highlits, Common という部分がシャドウ、ハイライト、共通と日本語化されました。しかし、その下の、Shadows, Shadows color adjustment などという部分がまだ翻訳できません。これは po フォルダ下の ja.po ファイルでは、それらしいキーが見つからなかったためです。 他のフォルダにある po フォルダを翻訳しないといけないのか、それとも、そもそも翻訳するためのキーが欠けているのか、よく分かりません。potファイルが見当たらないというのも気になります。またソースコードに po ファイルが見当たらない mo ファイルがバイナリーにありますが、これらはGNOMEGtkから来るようです。

 

なお、GIMPGithubのサイトは下記のようです。

gitlab.gnome.org

 なお、GIMPのファイル翻訳の全貌を理解していないので、この記事を書いた後アップするかどうか迷っていたのですが、とりあえずアップします。