すでに、ART のマスク機能については、以下に簡単に解説しておきました。
ですが、概略を説明しただけで、戸惑う部分もかなりあると思います。ここではブラシマスクの使い方についてもう少し踏み込んだ説明を行います。
■ブラシモード
エリアマスク・ダイアログの右上と同じように、こちらにもアイコンがあります。意味は下記の通りです。
なお、ここにも追加モード、重複モードという言葉が出てきます。エリアマスクの場合は、それは同じエリアマスクにおけるエリア (指定範囲) 同士の関係を指していましたが、ブラシマスクでは、他のマスクとの関係を定義している点が異なります。これはアイコンの上にカーソルを持ってきてコンテキストヘルプを表示することで、「他マスク」との関係を定義していることが分かります。
・重複モード
他のマスクとブラシマスクの重複部分のみを選択範囲とするモードです。例えばパラメータ指定マスクで明るい部分のみを指定してみます。
この上にブラシマスクでストロークを描いてみましょう。
上で書いたストロークにもかかわらず、実際に指定範囲として有効になるのは、両者が重複した領域だけです(下図)。
上のストロークを消しゴムモードで描けば、元の指定範囲からストロークを描いた部分のみが除外されます。なお一度描いたストロークは、消しゴムモードに後から変更したり、あるいは塗潰しモードに変更したりすることはできないようです。
・追加モード
他マスクで描いた既存の範囲指定領域にブラシストロークで描いた領域を追加するモードです(下図)。
特に難しい点はありませんが、一点注意を述べると、マスクを何も指定していないところに、ブラシでストロークを描いても何の変化も起こりません。というのはマスク指定がない時は全領域が既に範囲指定されているからで、そこにストロークで範囲指定領域を追加しても意味がないからです。但し、消しゴムモードによるストロークは有効です。
・アクティブエリア限定追加モード
これはブラシのストロークが有効な範囲を、エリアマスクを設定した範囲に限定するモードです。例えば、最初にパラメータ指定マスクで指定しておいたところに、以下のようにエリアマスクで有効範囲を限定しておきます。
この上からブラシマスクでストロークを描いても、このモードの場合、エリアを超えた範囲は、下のように何も範囲指定されません。
また消しゴムモードでストロークを描いても同様です。これは当然ですが。
■グローバル設定
・ブラシ設定との違い
ブラシ設定にも、こちらにも [不透明度] という同じ設定項目があります。この違いですが、ブラシ設定はブラシでストロークを描く時の設定で、個々のブラシストロークのみ有効です。それに対し、グローバル設定は、複数のストロークがあれば、すべてのストロークに対して有効になる設定であるとともに、ブラシストロークを描いた後、調整することができます。境界のぼかし、不透明度自体は自明かとおもいますが、例えば、今仮に、ブラシ設定の不透明度を50%、グローバル設定の不透明度を100%でストロークを描くと、50% x 100% = 50% の濃度でストロークが描けます。このあとグローバル設定を 50% に設定すると、ブラシ設定の50% x グローバル設定の 50% で、結果的に 25% の濃度になります。
しかし、一旦先の設定で 50% の不透明度で描いてしまったを 100 % の不透明度に戻そうとして、ブラシ設定の不透明度を 100% に戻しても、もう戻りません (次ぎに描くストロークは、不透明度 100% で描けますが)。すでに描いたストロークに対しては、消去し描き直すしかありません。ブラシ設定は、個々のストロークのみに有効であるとともに、ストロークを描いてしまった後調整ができないのです。
なお、ART では、GIMPのブラシにあるようなブラシの [硬さ (Hardness)] の調整はサポートしていません*1。同様な効果を得たい場合は、グローバル設定の [境界のぼかし] をご利用ください。
・スムーズさ
ブラシストロークの軌跡を滑らかにするかどうかの設定です。スムーズさを 0 で描くと軌跡が若干ギザギザしています。スムーズさを上げると、ギザギザ感が薄れます。
・コントラストカーブ
これは、ちょっと分かりにくい設定項目です。端的に言えば、マスクのかかっている部分とかかっていない部分のローカル編集効果のコントラストを設定する調整項目です。これは、ブラシストローク自体には何の影響も与えません。またデフォルトの状態では、エリアマスクのコントラストカーブと全く同じで、ブラシ部分とブラシ指定のない部分の効果の強度、コントラストを設定するだけです。このばあいコントラストカーブの右端 (非ブラシストローク部分) と左端 (ブラシストローク部分) しか意味がありません。
しかしブラシマスクのグローバル設定で、境界ぼかしが設定されている場合、あるいは非ストローク部分に、何かグレースケール状のマスクが設定されている場合、そちらに対して作用します。範囲指定がグレースケールでない場合(=塗りつぶし)はブラシストロークと同様なにも影響を与えません。
例えば、以下はブラシストロークを消しゴムモードで描いたままで、コントラストカーブを何もいじっていない状態ですが...
コントラストカーブをいじると下記のようになります。
[関連情報]
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*1:以前はブラシ設定の [不透明度] を [硬さ] と表示していましたが、ユーザから、名称が不正確ではないかとの指摘を受け、Ver. 1.16 から変更されました。そのためグローバル設定とブラシ設定で同じ [不透明度] 項目が表示されるようになりました。以下のディスカッションをご参照ください。