省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

1981年7月 身延線旧型国電置き換え廃車回送計画

 昔の撮影メモから...

 当時富士電車区で取材した、1981年7-8月の身延線旧型国電の新性能車置き換え計画です。そういえば今年は身延線の旧型国電が置き換えられてからちょうど40周年になります。旧型を置き換えた115系ももはやなく...

 1981年8月4日以降はクモハユニを含んだ運用のみが旧型で運行され、8/31が、モハ62, クハ66を除いた旧型国電運行の最終日になりました。クモユニ143-1は9/1から運用に供されたことになります。なお、62, 66は1984年まで予備車的に使われていたようです。

置換日 最終運用 編成 回送日 回送編成 回送列車番号 行先
7月22日 238M 51830 7月23日 51830 回9411M
11:15出区
浜松工場
45012 45012
41850 41850
47112 47112
7月23日 236M 51806 47067
47100 51806
51814 47100
47059 51814
7月23日 予備 47067 47059
7月28日 236M 60802 7月29日 51820 回9411M
11:15出区
浜松工場
45008 55301
60806 51802
68107 47008
7月28日 予備 51816 51836
47006 68095
7月29日 236M 51802 60802
47008 45008
51836 60806
68095 68107
7月29日 予備 51820 51816
55301 47006
7月30日 236M 51800 7月31日 60816 回9411M
11:15出区
浜松工場
47053 47005
51828 60800
55319 68103
7月31日 226M 51824 51800
47001 47053
7月31日 予備 60816 51828
47005 55319
60800 51824
68103 47001
8月3日 232M 51810 8月3日 51810 回9239M
15:23出区
西富士宮
(9/1まで疎開)
68109 68109
8月3日 628M 60804 60804
68019 68019
60810 60810
47003 47003
8月31日 636M 44802 9月1日 44802 回9237M
14:17出区
西富士宮
55440 55440
60812 60812
68093 68093
8月31日 642M 44801 9月2日 44803 回9235M 西富士宮
47051 51850
60808 55441
47110 51852
8月31日 予備 44803 47063
51850 44800
55441 44801
51852 47051
47063 60808
44800 47110

 なお、編成は、上が下り方(大阪方向)、下が上り方(東京方向)です。

 

 なお、この計画に先立つ、1981.6.12に、一足先に回9411Mで以下の車輛が西浜松(浜松工場)に送られています。訓練用の115系を留置する余地を生むためと思われます。これらの車両は1981.6.20~7.1付で廃車になっています。

47057
60814
47061
47106
51808
47007
51818
47055
51812
47065

また51822は、1978-9年頃大船工場に入場したまま復帰せず(おそらく1978年6月の入場で)、第2種休車のままずっと工場内に留置された後、1981年に他の仲間と併せて廃車となっています。

 

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さよなら運転のヘッドマークを付けたクモハユニ44801
(1981.8.31)

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クモハ51850 (静ヌマ)



            

鉄道色のレファレンス (1): 湘南色

 写真カラー補正のため、色のレファレンス値を示しておくことが重要になると思います。以下、シリーズで鉄道の色のレファレンスとなる値を掲示していきます。1回目は湘南色です。

 湘南色は1949年に登場し、東海道線に投入された、80系で初めて採用された色彩で、湘南地区西部や静岡の特産である蜜柑にちなんだ色ともいわれてきましたが、Wikipediaの記述によるとアメリカのグレートノーザン鉄道の色がヒントになったとされています。80系が新製投入された東海道線および高崎・上越線で採用後、さらに後継の113系, 115系, 153系, 165系, 169系など近郊・急行用電車もその塗色を踏襲し、また113, 115系に押し出された80系が、山陽線中央西線などに活躍の場を移すにつれ、湘南色の範囲も広がっていきました。結局、113、115系ともども湘南色の電車の走った範囲は、一部の国電区間を除く、国鉄直流電化範囲の大半に及びました。ただ個人的には若干けばけばしい塗装があまり好きではありませんでした。

 なお使った写真はWikipediaの「湘南電車」から引用しています。またRGBの値はRawTherapeeを使って測定し、RGBの値は%表示 (最暗部 0 % 最明部 100%) となっています。これを通常の0-255表現に直すには、25.5を掛けてください。画像をダブルクリックすると大きく表示されます。

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サンプル1
〔出典:ウィキメディア・コモンズ ©​Japanese Wikipedia user Shellparakeet, CC BY-SA 3.0,〕

 

f:id:yasuo_ssi:20210701110057p:plain

サンプル2 
〔出典:ウィキメディア・コモンズ ©​Japanese Wikipedia user anonym, CC BY-SA 3.0,〕

f:id:yasuo_ssi:20210701110514p:plain

サンプル3
〔出典:ウィキメディア・コモンズ ©​Japanese Wikipedia user W0746203-1, CC BY-SA 3.0,〕

 最後は筆者が撮った写真です。周囲が薄暗くなってきた夕刻に撮りました。

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サンプル4 (筆者撮影写真)

 湘南色は、国鉄の規定では黄柑色と緑2号の組み合わせになっています。Wikipediaによりますと緑2号のRGB値は(53, 79, 51) [%表記、20.8, 31.0, 20.0]だそうですが (つまりRとBの値はほぼ等価)、実際にはR, G, B比は 2: 3: 3 程度に写っていることが多いようです。ただ筆者が夕方に撮った写真(サンプル4)に関しては、Wikipedia通りRとB値が近い値になっています。また、天気などの状況でやや青みがかった場合はB が Gよりやや高く、晴れの順光だと、GがややBより高いようです。また光が写りこんだり、周りの景色が反射すると、この限りではありません。

 黄柑色に関しては、R, G, Bの比が、Rが1に対して、GがRの5~6割、さらにBがGの5~6割という比に写っているようです。これもWikipediaによるとRGB値は(202, 106, 31) [79.2, 41.6, 12.2%]とされています。写真ではBのRGB値が高めに写っていることが多いようです。ただこれも筆者の撮った写真では、Bの値が、Wikipedia通り、やや低めに写っています。

      鉄道色のリファレンス(2): 横須賀線色へ行く→

ImageJ対応 相対RGB色マスク画像作成ツール 新バージョン公開 (輝度マスク作成機能追加)

[本ツールの最新マニュアル]

 本ツールの最新マニュアル (2023.7) は以下にあります。最新版 (0.52) のダウンロードも可能です。

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お知らせ (2022.8)

 本ツールのユーザインターフェース改善バージョンアップ版(Ver. 0.25)を以下に公開しました。なお、ツールの説明は、本ページの説明および以下の各バージョンアップのページも併せてご覧ください。

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お知らせ (2022.6)

 本ツールの機能追加バージョンアップ版(Ver. 1.20)を以下に公開しました。なお、ツールの説明は、本ページの説明および以下の各バージョンアップのページも併せてご覧ください。

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お知らせ (2022.5)

 本ツールの機能追加バージョンアップ版(Ver. 1.15)を以下に公開しました。なお、ツールの説明は、本ページの説明および以下の各バージョンアップのページも併せてご覧ください。

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 お知らせ (2022.2)

 本ツールの機能追加バージョンアップ版(Ver. 1.13)を以下に公開しました。なお、ツールの説明は、本ページの説明および12月のバージョンアップ(Ver.1.12)のページも併せてご覧ください。

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お知らせ (2021.12)

 本ツールの機能追加バージョンアップ版を以下に公開しました。なお、ツールの説明は、本ページの説明も併せてご覧ください。

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 なお、ImageJのインストール方法自体については (但し Windows)、以下をご参照ください。

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 4月に公開した汎用色マスク画像作成ツールですが、今回新バージョンを公開します。なお、今回のバージョンから「相対RGB色マスク画像作成ツール」と名称を改めます。また英語名称も、Relative_RGB_color_mask_maker とさせていただきます。名称を何度も変更してすみません。以前のバージョンではマスクを作成する輝度範囲はR, G, Bチャンネル以外にRGBを合成した輝度も選べましたが、グレースケールの色マスク画像自体は Cyan, Red, Magenta, Green, Yellow, Blueの6種類のみとなっており、輝度(Luminosity)マスクの作成は選べませんでした。しかし今回新たに選択肢として輝度マスク (Luminosity) も選べるようにしました。なお、この輝度マスクの作成方法は、以前公開した輝度マスク作成ツールによって作成される輝度マスクとは異なります。

0. 今回追加した輝度マスク作成機能

 まず、色マスクと同様に、マスクの範囲を一定の輝度範囲に限定できます。また輝度範囲判定チャンネルも、RGBを合わせた輝度のみならず、R, G, B, それぞれのチャンネルの輝度を使うこともできます。また作成されるグレースケールの画像マスクに関しては、ポジ画像の輝度マスクに関しては、各ピクセルの輝度の値を v とし、輝度範囲の最低値を l とすると、v-l の画像をマスク画像として出力します。つまり元の最低値が最暗黒になるマスク画像を作成することになります。 ネガマスクはその有効輝度範囲部分の画像を反転したものです (指定範囲外は 0 のまま)。例えば47- 90の輝度範囲で輝度マスクを作るよう指定すると次のようになります。なお、ここで使われるグレースケールの輝度は、gray=0.299 x R + 0.587 x G + 0.114 x B でウェイト付けされています(単純に(R+G+B) /3でグレースケールを求める場合は明度 Lightness とします)。

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図0-1. 47以下を0とし、それ以外は元の輝度値 - 47 を新たな輝度値としたポジマスク画像

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図0-2. 輝度範囲を47-90に制限した二値マスク

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図0-3. 上の二つを合成した最終的な輝度マスク (ポジ)

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図0-4. 同じ輝度範囲のネガマスク

 なお、輝度マスクに関しては、色の閾値に相当するパラメータが無効ですので、マスクの明るさを調整したい場合は、透過度の係数 (Mask Transparency Factor)を指定して調整してください。係数を上げると明るく(透過度が上がる)なります。

 

 なお、本ツールの当初の開発意図については、2021/4/10公開時の記事をご参照ください。なお、今回公開のバージョンを Ver. 0.1 とします。

 なお、本ツールの他の従来のフォトレタッチソフトに備えられているツールとの最大の違い・特徴は、従来のツールだと、個別の色のRGBの絶対値(つまり具体的な個別の色)に基づいて選択範囲を決定したり(特定色域選択など)、色相(Hue)に基づいて選択範囲を決定していますが、本ツールではR, G, Bの相対値に基づいて選択範囲を決定している点です。例えば色相に関係なく、B値がRとG値の平均より10以上高い、あるいは10以上低い範囲を選択したり、相対値に基づいてマスクの濃度が決まったりします。このように作成されるマスクはR, G, Bのトーンカーブやレベル補正による補正と、特定色域選択や色相選択より、親和性が高く、よりナチュラルな結果が得られる可能性があるはずです。

 

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蔵出し画像 福塩線 クモハ51053 (1977年3月)

 先日GIMPのスクリーンモードの活用法が分かりましたので、再び同様な条件(逆光による露光不足)の写真を補正してお出しします。福塩線のクモハ51053です。

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クモハ51053 (岡フチ)

 このような条件の写真の補正には、RawTherapeeの「CIE色の見えモデル2002」よりも明らかにGIMP (もしくはPhotoshop) 上でのマスク+スクリーンモードで補正をするのが良いようです。この写真はオリジナルは以下のようなものでした。

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オリジナル

 これに対し、拙作の汎用色チャンネルマスク作成ツールを使って、以下のような青透過マスク画像を作成しました。このマスクを掛けたレイヤーをスクリーンモードで重ねますが、その理由は、背景の明るい部分はこれ以上あまり明るくしたくないのと、前にも指摘したように、車体の青20号部分より道床部分が明るいので、そのままスクリーンモードで重ねると道床部分が車体より明るく浮き上がってしまい、車体の黒潰れがむしろ強調されてしまうからです。

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青透過マスク
マスクB Ch. 輝度範囲8-80 / B閾値+10

 さらに全体調整レイヤーも作成しましたが、これに対しては左端の黒い部分が隠れるマスクを作成してつけました。

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全体調整レイヤー用マスク

 そして各レイヤーを不透明度100%のスクリーンモードで下記のように重ねました。

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レイヤー

 青透過マスクをつけたレイヤーは明るさを増すために3枚重ねて調整しました。これを一旦TIFFに出力したものが、下記です。

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GIMP上での補正終了

 それをdarktableに読み込んで、フィルミックRGB等でコントラストなど再調整を掛けたのが上記の画像です。

 この方法が、逆光で暗くなってしまった失敗写真の粒子の荒れを抑えた定番補正方法として推奨できる方法かと思います。フィルム写真のみならず、デジタル写真でも活用できる方法だと思います。ですがフィルム写真の露光不足部分は、フィルム粒子が荒れがちですので、より有効性は高いでしょう。

 

 最後に例によって本車の車歴です。

1937.7.15 川崎車両製造 → 1937.8.18 大ミハ配置 → 1937.10 大アカ → 1944.9.11 座席撤去 → 1948.12.11 座席整備 → 1955.1.18 更新修繕I 吹田工 → 1961.9.11 岡オカ → 1976.7.10 岡フチ →  1977.9.5 廃車 (岡フチ)

 1937年に川崎車両で製造後、24年間京阪神間を走ったのち、1961年に岡山電化のため岡山地区に移り、宇野、赤穂線等を走りました。しかし、1976年に東北などから押し出されてきた115系に押され、1976年7月に福塩線に移動しましたが、1年足らずで阪和線から押し出された70系に押されて廃車となりました。しかし1年足らずの活躍とは言え、しっかり福塩線の青20号に塗り替えられていたことが、この写真から分かります(岡山から転属したクモハ51の中にはチョコレート色のまま活躍していた車もありました)。因みに岡山地区の旧型国電置き換えの際6両が府中電車区に移り、それまで府中区にいたクモハ41と牽引車代用だったクモニ13を置き換えますが、この車両の移動は鉄道雑誌に一切掲載されていません。以下の転属日付は府中電車区に当時直接取材して教えていただいたものです。

 探している方には貴重な情報だと思いますので、こちらに記しておきます。

1976年7月改正に伴う旧型国電の岡山運転区から府中電車区への車両の転属日付

クモハ32000 1976.7.10

クモハ51045 1976.6.22

クモハ51049 1976.7.2

クモハ51053 1976.7.10

クモハ51055 1976.7.2

クモハ51057 1976.7.1

 

これにより

クモハ41021, 028, 032, 035, 043 および クモニ13031が廃車となりました。

 

 なお、当初はクモハ32の代わりにクモハユニ64が来るような話もあったようですが、結局クモハ32の転属となったようです。クモハユニ64が府中に来ていたら、後のクモハユニ64の奇跡的な営業用復活劇もなかったことになります。

 




 

GIMPプラグイン Layer via Copy の解読

 GIMPプラグイン作成法のお勉強として、以前以下の記事で紹介した、Dmitry Dubyaga氏が作成した、layer-via-copy-cut.py という プラグインを解読してみます。

yasuo-ssi.hatenablog.com

 最初は、Pythonを使う宣言です。引き続きエンコードUTF-8の仕様を宣言します。なお、以下、プログラムは原則斜体ので表記し、変数名(オブジェクト変数名)はで、定数名は赤紫で表記します。緑の部分、および "" に囲まれた部分はユーザが任意に変更可能な部分です。プログラムの初心者ですと、必ずその通り書かなければならない手続き名と、プログラマーが任意につけられる変数名の区別が難しいと思いますのでこのように書いています。例えば、このプログラムでは、イメージオブジェクトを格納するオブジェクト変数名として image という変数名を使用していますが、img でも構わないということです。一方、gimp_image_... というような手続き名(API名)を、gimp_img_... と書いてはいけないということです。また定数名は決まった定数名から選択して使うことになります。

 

#!/usr/bin/env python
# -*- coding: utf-8 -*-

(中略)

from gimpfu import *

 プログラムの冒頭にgimpのライブラリが呼び出されます。

 

 以下、プログラムの順番は逆になりますが、まずRegister関数から見ていきます。

register (
"python-fu-layer-via-copy",
"Copy and move the selected area to a new layer in the same position.",
"Copy and move the selected area to a new layer in the same position.",
"Dmirty Dubyaga",
"Dmitry Dubyaga <dmitry.dubyaga@gmail.com>",
"09.01.2014",
"Layer via Copy",
"*",
[
(PF_IMAGE, "image", "", None),
(PF_DRAWABLE, "drawable", "", None)
],
[],
python_fu_layer_via_copy, menu="<Image>/Layer/"
)

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失敗写真の補正テクニック・インデックス

f:id:yasuo_ssi:20210627103216p:plain

■逆光で被写体が黒くなってしまった写真の補正

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■フィルムのパトローネ巻き込みによる光線被りの補正

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モノクロフィルム画像 光被り補正サポートツール (2) (2022.7.3)

モノクロフィルム画像 光被り補正サポートツール 適用サンプル (1)  (2022.7.7)

モノクロフィルム画像 光被り補正サポートツール 適用サンプル (2) (2022.7.9)

 

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■汎用色チャンネル再構成ツール

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■現像失敗モノクロフィルムの救済

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クモハ51043 写真再調整 / 逆光による露光不足をGIMPスクリーンモード+マスクで補正する

f:id:yasuo_ssi:20210627103216p:plain 先日、GIMPレイヤーモードのスクリーンでの補正を紹介する (粒子の荒れを目立たせずに暗い画像を明るくできる) 際にサンプルとして用いた福塩線クモハ51043の画像ですが、スクリーンモード+マスクで再補正を試みました。

 

 再び、オリジナル写真の掲示から...

f:id:yasuo_ssi:20210212112834j:plain

補正前オリジナル
クモハ51043 (岡フチ) 福山駅

 結局この写真をどのように補正したいのか、というと...

・手前の黒っぽくなってしまっている逆光部分を明るくする。

・その一方で黒っぽくなってしまっている部分を明るくしたからといって、過度に白浮きするのも望ましくない。

・明るい部分と暗い部分の差を詰める。かといってあまりにもメリハリのない画像では困る。

 というかなりないものねだり的な補正をやろうということになります。

 もう少し具体的に言うと、手前の線路部分や床下は、ある程度黒っぽくても良いが、車体はもう少し明るくしたい、そして車体の中で明るい部分と暗い部分の差を詰めたい、というあたりですが、問題は、逆光になっている車体の方が手前の線路よりも暗い点です。元々車体の青色20号がやや暗めなのでそうなってしまっています。このままでただスクリーンモードを掛けると、線路の方が明るくなり、車体は相対的に沈んでしまいます(前のスクリーンモードの紹介記事でそうなっています)。かと言って車体だけマスクをかけて明るく浮かせると不自然になりがちです。

 そこで、次のような対策を取ってみました。シャドウ域に青色透過マスクをかけたレイヤーを作成し、それをスクリーンモードでオリジナルレイヤーに重ねる。また全体的に明るさが足りない場合は、グローバルにスクリーンモードを掛けるレイヤーをレイヤーで調整する。

 そこで、まず汎用色チャンネルマスク作成ツールを使って、シャドウ部分の青透過マスクを作ります。青透過マスクなら、線路・道床・床下部分の方が、車体部分より暗く(透過度が低く)なりますので、スクリーンモードで重ねても車体の方がより明るくなるはずです。

f:id:yasuo_ssi:20210625143631p:plain

シャドウ域青透過マスク
Bチャンネル輝度範囲 14-80 / B閾値 + 15
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