さて先日、現像済みのTIFFでも、NX Studioの色収差補正が有効であることを確かめました。ではデジタルカメラでフィルムを取り込んだ画像ではどうでしょうか。という訳でARTでネガを現像したTIFFファイル(Rawファイルではありません)をNX Studioに読ませて、色収差補正が有効かどうか確かめてみます。ネガを写したRawファイルを直接読ませないのは、NX Studioでネガポジ変換をやろうとするとトーンカーブをいじくりまわさなければならず面倒なので、ARTで現像したものを読ませます。
まず、デジタルカメラでネガフィルムをデュープし、それをART / RawTherapeeでネガポジ変換したTIFFファイルを用意します(以下の画像)。なお、カメラにはNikon D5500を使っています。
なかなかいい塩梅に現像できています。最初にARTで、検証のため敢えて色収差補正を一切かけず16bit TIFFファイルに現像し、それをNX Studioに読ませます。
図0-2の左部分を拡大していますが、盛大に色収差が出ています。
まず、倍率色収差補正を掛けますが、効果はわずかです。でも一応改善はしています。
そこで、軸上色収差補正を掛け、さらにスライダーを右に動かすと大きく改善しました。どうもこの色収差の主成分は軸上色収差だったようです。オリジナルのレンズに起因するものか、ひょっとするとフィルムを写すときのフィルムのゆがみ等に起因するものだったのか...
さらに、比較のため、ARTで色収差補正を行って現像したものを、NX Studioに読んでみます。ほぼ図4と同等の結果です。わずかにこちらの方がベターかどうか?
さらに、ARTで補正したものに更に、NX Studio上で倍率収差補正を掛けます。図5に比べ、極めて僅かですが若干改善します。しかし、認識不能に近いです。なお軸上収差の補正は全く効果がありません。
というわけでアナログフィルムをカメラでデュープした画像にもNX Studioの色収差補正が極めて有効なことが確認できました。ただ、ART / RawTherapee の色収差補正もかなり優秀ですので、ARTでネガポジ転換し、補正まで掛けて現像したものを再度NX Studioで読んで補正する意味はほぼありません。
ただフィルムスキャナ等で取り込んだ色収差が盛大にでいている画像は、NX Studioで補正できそうです。
個人的には、昔の鉄道写真のうち、コンパクトカメラで撮っていたのを既にフィルムスキャンしたものがかなりあり、これの色収差がひどいのが気になっていました。特にコニカで撮ったものです。ハーフサイズのオリンパスペンの方が、ハーフサイズなのでフィルムの粒状は大きくなりますが、色収差は少ないです。さすがオリンパス。しかし、どうやらNX Studioで処理できそうな希望が見えてきました。
ちなみに、NX Studioでネガポジ反転が出来ないわけではないのですが、既に述べたように、やろうとすると面倒です*1。またフィルムのベースカラーが異なれば調整もそれごとにやらないといけませんので、敢えてNX Studio上でネガポジ変換を行うメリットはありません。
結局、ARTでネガポジ反転を行うなら、色収差補正、さらにスポット補修までARTで完結させたほうが楽で良いと思います。色収差補正能力も結構優秀です。一方ポジフィルムのデュープに関しては、Nikonのカメラを使うなら、NX Studioで現像から一貫して処理するメリットは大きいと思います。