〇簡単な現像処理ステップ
右パネルにある現像処理ツールを使った、簡単な現像事例をお見せします。
右上にメインツールグループの8つのボタンがあります。最初は、最初のボタンがブルーの下線がついて選択された状態です。これは露出グループです。
各ツールグループのタブは、各ツールのサブグループに分かれています。例えば露出では、
- 露出 (Exposure)
- トーンイコライザー (Tone Equalizer)
- トーンカーブ (Tone Curves)
- ダイナミックレンジ圧縮 (Dynamic Range Compression)
- 対数トーンマッピング (Log Tone Mapping)
とりあえず、トーンイコライザーを見てみましょう。
ツールのサブグループ名の左隣には、ツールをOn/Off するスイッチボタンがあります。
右の矢印ボタンは、ツールをデフォルト値にリセットするボタンです。
各ツールは畳まれていて、何もないように見えるかもしれません。ツール名をクリックすることで、ツールパネルを畳んだり展開したりできます。
トーンイコライザーをオンにするとこうなります。
先にサンプルとして読み込んだ画像は、建物の手前壁面がやや逆光気味で暗くなっており、また手前の道路も影になっています。そこで影を少し明るくします。
続きを読むART: a fork of RawTherapee 入門ガイド (2) - 編集画面
〇画像を開く
編集画面に移るには、絞り込みパネルもしくは画像確認パネルのサムネイル画像をダブルクリックします。
編集画面には、一連のツールやコントロールがありますが、次の3つのパネルにまとめられています。左のナビゲータおよび履歴パネル、上のフィルム・ストリップパネル、右の現像処理ツールパネルです。
以上の3つのパネルは、メイン画面を広くするために、開いたり閉じたりすることができます。そのために以下の図のように3つのボタンがあります。
これらのボタンをクリックすると、今開いている画像を残してパネルは隠れます。同じボタンを再度クリックすると、再びパネルは現れます。このボタンに描かれている矢印はクリックしたときにパネルが動く方向を示しています。
■編集画面上部アイコン
■編集画面下部アイコン
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ART: a fork of RawTherapee 入門ガイド (1) - ファイルブラウザ画面
今まで、ART (Another Raw Therapee) の機能紹介を書いてきましたが、今回は入門記事です。ARTのクイックスタートを参考にしながらアレンジして、4回に分けて書いてみます。
インデックス
- (1) ファイルブラウザ画面 (本記事)
- (2) 編集画面
- (3) 簡単な編集
- (4) ファイルへの出力
以下画面はすべて拙作の日本語ファイルを適用した状態で示します(現在公式ダウンロードに拙作の日本語翻訳ファイルが採用されています)。なお、翻訳は随時見直す時がありますので、表示が異なる場合があるかもしれませんがご了承ください。
まず、ARTを起動するとファイルブラウザ画面になります。
起動画面は3つに分かれます。
・左パネル: ファイルを探す
・中央パネル: ファイルのサムネイル
・右パネル: カメラモデルや絞り、シャッタースピードなどでファイルを絞り込む
続きを読むNX Studioのフィルムデュープ画像に対する色収差補正能力は?
さて先日、現像済みのTIFFでも、NX Studioの色収差補正が有効であることを確かめました。ではデジタルカメラでフィルムを取り込んだ画像ではどうでしょうか。という訳でARTでネガを現像したTIFFファイル(Rawファイルではありません)をNX Studioに読ませて、色収差補正が有効かどうか確かめてみます。ネガを写したRawファイルを直接読ませないのは、NX Studioでネガポジ変換をやろうとするとトーンカーブをいじくりまわさなければならず面倒なので、ARTで現像したものを読ませます。
まず、デジタルカメラでネガフィルムをデュープし、それをART / RawTherapeeでネガポジ変換したTIFFファイルを用意します(以下の画像)。なお、カメラにはNikon D5500を使っています。
なかなかいい塩梅に現像できています。最初にARTで、検証のため敢えて色収差補正を一切かけず16bit TIFFファイルに現像し、それをNX Studioに読ませます。
続きを読むNX Studio 色収差補正比較 別レンズで
以前、NX Studioの色収差補正能力を、キットレンズであるAF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VRを使って検証しました。今回別のレンズを使って検証してみます。
また比較対象とするRaw現像ソフトは、比較的色収差補正能力の高いART / RawTherapeeです。
まずは、Nikon AF-P DX Nikkor 10-20㎜ f/4.5-5.6G VRです。若干開放F値は暗めですが、広角レンズが大きくなりがちな、センサーサイズの小さめなAPS-Cカメラにあって、非常に軽くて携帯性が良く、しかも価格も安いというお得レンズです。神社仏閣などの建物を写そうとすると、標準ズームでは建物の全景が入らず切れがちですが、そのような場合に必携のレンズです。カメラはD5500です。
まず、色収差補正オフで現像してみました。オフでも以前見たキットレンズに比べ色収差はましなような気がします。EDレンズを使っているわけでもないのにまずまずです。
続きを読むART / RawTherapee 機能紹介 - テクスチャ増幅
今回紹介する、ART / RawTherapeeのモジュールはテクスチャ増幅です。このモジュールはもともとはRawTherapeeのトーンマッピングを改名、改善したもののようですが、2020年の夏バージョン(1.5.2)からAgriggio氏がアルゴリズムを書き改めたようです*1。場所はローカル編集タブの下にあります。
なお、ARTの日本語版をお使いになっていて、モジュール名が[テクスチャ増幅]ではなく[トーンマッピング]のままの方は、お手数ですが、以下のページから最新版の日本語ファイルをダウンロードして入れ替えてください。
もともとRawTherapeeの独自の機能であるトーンマッピングとは、逆光の画像など、極端な明暗のコントラストのついた画像を、ディテールを維持しながらコントラストを弱めるツールとして作られたようです。シャドウ/ハイライトモジュールなどに目的は似ていました。疑似HDR画像を作る機能などと紹介されることもありました。ただそのディテールを維持したり強化したりする機能に着目する使い方もされていました。ARTでは、そのディテール強化機能に着目して、[テクスチャ増幅 Texture Boost]と改名して設置していましたが、さらにアルゴリズムを書き換えて、ディテール増幅効果を主目的にし、特化したのが、現在の[ディテール増幅]です。従って現在はアルゴリズムもパラメータもRTの[トーンマッピング]とは異なったものになっているようです。なお、RawTherapeeのトーンマッピングが担っていた機能は、トーンイコライザや対数トーンマッピングにRegularization機能が付け加わりましたので、役割的にはこちらでほぼ代替されるものと思われます。
RawTherapeeの[トーンマッピング]のパラメータはパッと見で意味不明でしたが、[テクスチャ増幅]では自明になっています。[強さ]は効果の強さ、[ディテールの尺度]は増幅する細部のキメの大きさの尺度を設定するパラメータです。大きくすると増幅するテクスチャのきめが粗くなります。[反復]を増やすと計算回数が増え、より効果が強まります。
*1:以下のディスカッション参照。