省型旧型国電の残影を求めて

戦前型旧型国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

決定版! 不均等黄変・褪色ネガ写真のデジタル補正術 (5-2)

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お知らせ

  2021年2月14日にImageJ用プラグインをアップデートしました。

目次

1. 本連載記事の概要 

2. 今まで紹介されてきた経年劣化による変褪色写真の補正術 

3. 写真補正の原理    

4. Bチャンネル再建法による不均等黄変・褪色ネガ写真補正の方法                

5-1. 具体的な補正実施手順 - 準備   

5-2. 具体的な補正実施手順 - ImageJによる作業 (本記事)  

5-3. Bチャンネル再建法による具体的な補正実施手順 - GIMPによる作業

6-1. 追加マニュアル補正の実施 - 補正不完全の原因分析と追加補正方針の決定 

6-2. 追加マニュアル補正の実施 - 追加編集作業の実際

補足. GIMPの代わりにPhotoshopで不均等黄変画像の編集を行う

補足. Bチャンネル再建法 補正ツール簡易版

5. Bチャンネル補正法による具体的な補正実施手順

5.2 ImageJによる作業

 まず、ImageJでは、編集作業の素材となる各種画像ファイルを補正元のオリジナル画像ファイルから作成します。補正元となるオリジナルファイルの画像形式はImageJが読み込むことができる形式の画像であればなんでもかまいません。ここから作られた編集素材ファイルはすべてTIFF形式になります。

 なお、この手法ではBチャンネルを再建する時、オリジナルのBチャンネルの情報を30%混入させます。そのため補正元ファイルの色かぶりが激しいと補正しきれません。従って、色かぶりが激しい時は原稿ファイルを予めフォトレタッチソフトの色かぶり修正機能 (ホワイトバランスの調整や、自動カラー調整など) で色かぶりの変異量をなるべく減らして下さい。また色温度が明らかにおかしい場合も修正しておいて下さい。この手法の目的は、これらの色かぶり修正機能で修正しきれない不均等変異を補正することですので。もちろん、不均等だけれども変異量自体は小さければ、いきなり本手法に掛けても大丈夫です。またこれらの予備補正を行うとかえって変異が悪化する場合もあります。

 まず、ImageJを立ち上げます。そこで登録しておいた私が作成したPlug-in (Photo Color adjustment) をメニュー→[Plugins]から起動してください。

その際、旧バージョンのプラグインの場合は、オリジナル画像が8bitなら8bit版を、16bitなら16bit版を使うようになっていましたが、現在のバージョンはメニューから選択するようになっています。

あるいは前回触れたようにメニュー→[File]→[Open]から走らせても大丈夫です。

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  起動すると、ファイルを指定するダイアログが開きますので、オリジナル画像(補正元)ファイルを指定します。

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 なお、2021年2月新バージョンのプラグインの場合はこの後、次のようなダイアログが出ますので、パラメータを入力します。パラメータ設定項目が増えて、戸惑われるかもしれませんが、通常の非リニアな画像では、基本デフォルトで走らせてみてください。それで不都合があるときのみパラメータをいじるようにしてください。

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図1 ImageJ用プラグイン パラメータ入力ダイアログ

 なお、メニューで日本語を扱うと文字化けするので、英語で表記しています。

[Image bit depth]

 デフォルトはAutoモードになっており、読み込んだ画像に関し、自動的に16bitか8bitか判定します。通常はAutoモードで使用してください。但し、たまにファイル形式によって、ImageJが判定に失敗する可能性があり、その場合は手動で 16bitか8bitを指定してください。

[Foregroud Mask Threshold]

 通常の画像 (非リニアな画像) は、デフォルト値を変更しないでください。リニアな画像の場合のみ 48 を選択します。なおこの閾値はRチャンネルの輝度値で設定していることにご注意ください。

[Backgroud Mask Threshold]

 これは、遠景補正レイヤーの閾値 (端的に言うと遠景補正レイヤー用のマスク画像の閾値) を0-255の範囲で指定します。つまり、遠景と中近景をおおむね区分できる輝度値を指定するわけです。デフォルトは128ですが、これは今までのプラグインと同じです。この閾値もRチャンネルの輝度値で設定しています。Bチャンネルの値は黄変している異常値の可能性がありますので、Bチャンネルの輝度値を基準にしていません。なお、空の色が濃い場合は、それに応じて (例えば90ぐらいまで) 下げないと、空も中近景に含まれてしまいます。また、画像全体が白っぽい場合は、値を引き上げないと、画面の多くの領域が遠景になってしまいます。前のプラグイン閾値128と90のどちらかから選択するようにしていましたが、それをユーザが数値で指定する形にしました。なお、もし画像がsRGBガンマ補正のかかっていないリニア画像の場合は、ここを標準で48前後にしてください。

[Background Lightness]

 これは遠景補正レイヤーの明るさの補正量 (明るくする相対的輝度値) を指定します。デフォルト値は、0、つまり従来のプラグインと同じになります。ただし黄変部分を除去した後、とくに空の場合、空がオレンジがかる傾向がみられる場合、適宜値を上げてください。
 なお、ここはマイナスの値も取れますが、マイナスにすると空が黄色くなります。因みに、ここで完全に空の色を補正しようと考えずに、若干ピンクがかる程度に補正を抑え、最終的にフォトレタッチソフトで色調整を行った方が良いように思います。トーンカーブ補正などを行っただけで結構空の色は変わってしまいますので。

[Dark part Threshold]

 これは、Bチャンネルで暗部の情報飽和が起こっている場合補正するレイヤーの閾値を決める値で、従来は25と50の2枚の画像を用意してユーザに選んでもらっていましたが、それを数値で指定する形にしました。この値は、(R+G)/2の輝度値を基準にしています。デフォルト値は50です。おおむねデフォルト値で良いと思いますが、ダメな場合は適宜値を指定してください。ここも画像がリニアなら20かそれ以下で良いと思います。

[Periphery Adjst Threshold]

 通常、デフォルト値で良いと思いますが、次のような場合は、変更してみてください。

・周辺補正部の濃度が濃すぎる

 → 値を引き下げて濃度を薄くしたり補正範囲を狭めてみる
※ここで値を引き下げずにフォトレタッチソフト側で周辺補正レイヤーの透過度を上げるという方法もあります。

・補正部分と非補正部分の境界付近の濃度が薄くなる
 → 値を引き上げて補正範囲を広くしてみる

 なお、この値は相対的な青色度です。

※なお、Bチャンネルの周辺部分情報抜けが起こっていなければ、周辺補正レイヤーはそもそも使う必要がありません。

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 このダイアログでキャンセルボタンを押すと、ImageJを終了せずに、そのままプラグインの実行が停止されます。

 続行する場合は、この後、ファイル保存フォルダ、ファイル名を確認するダイアログが出た後、Windowsが開き自動的にファイル加工作業が進行します。

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 作業が終了するとすべてのウィンドウが閉じられます。そしてオリジナルファイルと同じフォルダに、次のような10個のTIFF形式ファイルが作成されます。なおこの時点でオリジナルファイルはまだ削除しないでください。

現在のバージョンのプラグインは以下のファイルを出力します*1

[ファイル名]_R.tif
 Rチャンネルファイル
[ファイル名]_G.tif
 Gチャンネルファイル
[ファイル名]_B.tif
 Bチャンネルファイル

[ファイル名]_Dark.tif
 暗部補正用画像ファイル
[ファイル名]_G+R.tif
  暗部補正用G+Rチャンネル50%対50%混合画像ファイル

[ファイル名]_B_Background.tif
 遠景補正用Bチャンネル30%+Gチャンネル+30 70%混合画像ファイル
[ファイル名]_B_foreground.tif
 近景補正用Bチャンネル30%+Gチャンネル70%混合画像ファイル

[ファイル名]_R+128.tif
 近景補正レイヤーマスク用 Rチャンネル+128画像ファイル
[ファイル名]_Binary_Mask.tif
 遠景補正レイヤーマスク用 二値化画像ファイル

[ファイル名]_Periphery_Adjst_Mask.tif
 Bチャンネル周辺部分情報抜け補正用マスク原稿画像ファイル

 

 なお、オリジナルファイルが16bitの場合は、最後の二値化画像ファイル(8bit)を除いてすべて16bitファイルになります。ImageJでの作業は以上で終了です。

 

※なお、ImageJのバグのせいか、ここで加工した16bitファイルは、GIMPで読み込む時にエラーメッセージが出ますが、実際に作業をする上では支障になりません (私の環境では)。また、やはりそのせいか、それらのファイルをIrfanVIewで読み込ませると加工前の状態の画像が表示されますが(他の画像ビュワーソフトでもそうなる可能性あり)、実際にはちゃんと加工されています。Windows標準のフォトビュワーで見れば正しく表示されます。

 8bit画像では、問題がないようです。

 

 なお、本連載記事で紹介した写真補正技法やソフトウェア (Plug-in) は、個人的および非営利用途であれば、自由に使っていただいて構いませんが、本技法を使って何らかの成果 (編集した写真等) を公表する場合は、本記事で紹介した技法を使った旨クレジットをつけて公表していただくことをお願いします。

 また、本ソフトウェアは現状のまま提供されるものし、作者はこれを使ったことによるいかなる損害補償等にも応じられないことを了解の上使っていただくものとします。
 但し、もしソフトウェアのバグがありましたら、ご連絡いただければなるべく改善するよう努めたいと思います。

 

 

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*1:

以下、旧バージョンのプラグインが出力するファイルの一覧です。[ファイル名]はオリジナルファイル名(拡張子付)を指します。

[ファイル名]_R.tif
 Rチャンネルファイル
[ファイル名]_G.tif
 Gチャンネルファイル
[ファイル名]_B.tif
 Bチャンネルファイル

[ファイル名]_Dark25.tif
 暗部補正用G+Rチャンネルの25以下の暗部画像ファイル
[ファイル名]_Dark50.tif
 暗部補正用G+Rチャンネルの50以下の暗部画像ファイル
[ファイル名]_G+R.tif
  暗部補正用G+Rチャンネル50%対50%混合画像ファイル

[ファイル名]_Bx0.3+(G+30)x0.7.tif
 遠景補正用Bチャンネル30%+Gチャンネル+30 70%混合画像ファイル
[ファイル名]_Bx0.3+Gx0.7.tif
 近景補正用Bチャンネル30%+Gチャンネル70%混合画像ファイル

[ファイル名]_R+128.tif
 近景補正レイヤーマスク用 Rチャンネル+128画像ファイル
[ファイル名]_R+128_Binary_Mask.tif
 遠景補正レイヤーマスク用 R+128を基にした二値化画像ファイル