省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

ART / RawTherapee

ART の機能解説: L*a*b* 調整 (省略された機能をどう代替するか)

RawTherapee から引き継いだ、L*a*b* 色空間でカラー調整を行う編集モジュールです。L*a*b* 色空間は 原色によってチャンネル分割する RGB 色空間とは異なり輝度と色をチャンネルとして分離しているので、輝度を調整しても色に影響を与えにくいという特徴が…

ART トラブルシューティング: Canon PowerShot Pro 70 の Rawファイルが読めない

ART のオンラインディスカッションに以下のようなスレッドが立ちました。 discuss.pixls.us Canon Poershot Pro 70 の Rawファイルを開こうとすると ART がクラッシュするというのです。結局結論としては ART ではこのファイルを扱えないということです (な…

デジタルカメラによるカラーネガフィルムスキャンを ART, RawTherapee で行うノウハウ

Ilya Palopezhentsev 氏による、以下のブログに、RawTherapee とデジタル一眼カメラを使ってフィルムスキャニングを行う方法に関する解説が掲載されています。 ipalopezhentsev.github.io なお、 Ilya Palopezhentsev 氏の説明は、2020年の RawTherapee 開発…

Raw現像ソフト 色収差補正比較 再び: AF-P Nikkor 70-300mm F4.5-6.3 による画像を使って (付 NX Studio で色収差補正を行う際の注意点)

レンズが光学的補正よりもデジタル的補正を前提とするようになってきた、というお話を先日紹介しましたが、それもあって再度レンズの色収差補正の比較を行ってみたいと思います。今回は、Nikon の AF-P Nikkor 70-300mm F4.5-6.3を使ってみます。ワイド端の7…

ART用 ネガカラースキャン画像のマゼンタ被りを補正するプロファイル

先日、さほど褪色していないネガカラースキャン画像のマゼンタ被りを補正する記事を書きました。その最後に、「補正レシピを保存できない GIMP を使うよりは、補正レシピを保存できる ART や darktable を使って補正を行ったほうが良いかもしれません」と書…

フィルム写真補正に役立ちそうな ARRI LUT 適用例 - ART

以前、ARTにおける、ARRI の LUT の使い方について紹介しました。 yasuo-ssi.hatenablog.com 今回は、フィルムをスキャンした写真に対して、ARRI の LUT を当ててみた事例を紹介します。デジタルカメラデータとフィルムスキャンデータではかなり異なりますの…

ART トラブルシューティング: Pentax のカメラが自動認識されない

先日、ART のオンラインディスカッションの中で、Pentax KP が自動認識されず、いつもマニュアルで選択しなければならないという相談が寄せられました。 discuss.pixls.us これに対する回答として、lensfun が使う、slr-pentax.xml の中の記述を変更してはど…

ART の機能解説: レンズ歪曲を補正する2つのモジュールの関係

ART には、レンズのジオメトリック (幾何学的) な歪曲補正の調整項目として、レンズ補正プロファイルを使った歪曲補正と、それとは別に歪曲収差補正というモジュールがあります。デフォルトではレンズ補正プロファイルのジオメトリックな歪曲補正が自動で掛…

ART Nightly Build 公開サイトへのリンク

公式サイトに、gaaned92 氏が非公式に ART の Nightly Build (開発途上最新版) の Window バイナリーを公開しているサイトへのリンクがありますが、keybase がファイル配布サーバーの運用を 2023.3.1 に停止してしまったのでリンク切れになっています。 現在…

ART ファイル出力デフォルトディレクトリの指定について

ART の出力デフォルトディレクトリを指定するにはどうしたら良いでしょうか。まず ART には2つの画像出力方法があります。 二つの画像出力方法 そのまま、すぐ現在の画像を出力するものと、画像出力をキューに追加して出力させる方法です。 このうち、即時…

ART ネガフィルムモジュール解説 (Ver. 1.17以降対応)

昨年11月に RawTherapee 5.9がリリースされました。その際、ネガカラーをスキャンした画像のネガポジ反転を行うネガフィルムモジュールが大幅に変わりました。それまでは Rawデータモードでしか動かなかったものが、現像済みの TIFF ファイルでも動くように…

ART のバージョンが 1.19.x に復帰しました

3/23付で、1.18.1 に戻っていた ART のバージョンが、1.19.3 に復帰しました。 bitbucket.org

ART セッションモード 解説 ー 付 digiKam との連携

セッションモードとは、今年 1/2に リリースされた ART 1.18 より新たに追加された機能です。現状の ART のファイルブラウザは、ディスクドライブや、フォルダを指定し、そこからファイルを探します。しかしセッションは、ファイルのディスクドライブ上の位…

ART のバージョンが一旦 1.18.1 に戻っています

ちょっと色々行き違いがあって、ARTの最新バージョンが、1.18.1 に戻っています。新バージョンに更新されるまで、しばらくかかる模様です。 とりあえず、Windows用の1.19.2 のテストバージョンが下記に公開されています。Ver. 1.18.* Windows版は、日本語を…

ART 1.19.1 がリリース予定 (→ されました)

先日、ART1.19 がリリースされましたが、オンラインディスカッションで、サムネイル表示関連でバグの存在が指摘され、それを直した 1.19.1 がリリースされます。新バージョンのダウンロードをお考えの方は、1.19.1 のリリースまでお待ちください。 discuss.p…

近日中に、ART バージョンアップ予定 (→ 1.19としてリリースされました)

フリーのRaw現像ソフト ART の次期バージョンアップが近日中に予定されています。今のところバージョン番号は 1.19 になるのか、1.18.2 になるのか分かりません。バージョンアップ内容はバグフィックスと、ART で作成したサムネイルのキャッシュを保存するオ…

ART ローカル編集解説: マスク間の重ね合わせについて

ここで、ARTのローカル編集におけるマスク間の重ね合わせについてまとめてみましょう。 ■異種マスク間の重ね合わせ 異種マスク間とは、パラメータ指定マスク、類似色マスク、エリアマスク、ブラシマスク間相互のことです。 このうち、パラメータ指定マスクと…

ART ローカル編集解説: ブラシマスク

すでに、ART のマスク機能については、以下に簡単に解説しておきました。 yasuo-ssi.hatenablog.com ですが、概略を説明しただけで、戸惑う部分もかなりあると思います。ここではブラシマスクの使い方についてもう少し踏み込んだ説明を行います。 ブラシマス…

ART ローカル編集解説: エリアマスク

すでに、ART のマスク機能については、以下に簡単に解説しておきました。 yasuo-ssi.hatenablog.com ですが、概略を説明しただけで、戸惑う部分もかなりあると思います。ここではエリアマスクの使い方についてもう少し踏み込んだ説明を行います。 まず、今回…

ART で32bit 浮動小数点形式 TIFF で保存すると値はどうなるか?

ARTの画像出力オプションには、TIFF形式で出力する際に、32bit 浮動小数点形式で出力できるオプションがあります(下図)。 ART の32bit浮動小数点出力オプション 先日、ImageJ の 32bit 浮動小数点画像はどのような値を取るのかを調べてみたところ、定まった…

ART 1.18.1 がリリースされました

先ほど(現地時間では昨日付け)、ARTのバージョン1.18.1がリリースされました。ダウンロードは以下から。 bitbucket.org 変更内容は、いくつかの点で、RawTherapeeに比べて、ARTの動作がかなり遅いという指摘に対する対応、およびバグフィックスが中心です。…

ART の HDR 出力機能マニュアル

以下、今年1月2日にリリースされた、ART Ver. 1.18 から備えられたHDR出力に関するマニュアル ( https://bitbucket.org/agriggio/art/wiki/Hdroutput ) を翻訳し公開します。 -------------------------- HDR 出力画像の生成 適切に設定されていれば、ART は…

ART 1.18 がリリース予定です (→されました)

すでに、1.18の新機能についてお知らせしたことから予想がつく通り、近くART次期バージョン 1.18がリリースされます。 主な内容は、先日お知らせしたセッション機能の追加と、ファイルのリネームパターンの変更 (ファイル末尾に数字が含まれても、その後自動…

ART Ubuntu インストールレシピ

[2023.1.19 お知らせ] うっかり Lensfun をコンパイルする部分の翻訳を落としていたので、修正しました。その他追加説明を付加しました。 ----------------- 以下の情報は、Danny Heijl氏による、Ubuntuにおける、ARTをコンパイルしてインストールする手順で…

セッションモード - 次期 (1.18) ART 搭載予定機能

ARTでは、次期 Ver. 1.18 から新しくセッションモードという、新しいファイルブラウジング機能が搭載される予定です。 現状ではファイルブラウザ (ちょうどWindowsのエクスプローラーと同じような役割を果たします) で、フォルダやファイルを探索し、そこで…

ART対応 AgX LUTが公開されています

フリーのRaw現像ソフト、ART対応のAgX のLUTが公開されています。筆者もきちんと理解しているわけではないのですが、いくつかのサイトを読んだところ、AgX とは、シーン参照データをディスプレイ参照データに変換する際のレンダリングの方法の一つのようです…

ART: Windowsにおけるインストールの方法

ARTのWindowsにおけるインストールの方法のインストラクションは今まで用意していませんでしたが、パソコン初心者には戸惑う点があると思いなおし、今回敢えて書いてみました。 まず、以下の公式ダウンロードサイトにアクセスしてください。 bitbucket.org …

ART: カメラ固有プロファイルが準備されていないカメラの固有プロファイルを追加する

ARTでは各カメラのRawファイルを読み込んだ時、カメラ固有のプロファイルが有効になるモデルと、ならないモデルがあります。ならない場合があるのは、予めARTにそのカメラ用のDCPプロファイルが用意されていないためです。 ARTで使用しているDCPプロファイル…

ART を日本語Ubuntu 22.04 で使う場合は、ご自分でコンパイルを!

Ubuntu 22.04以降、デフォルトのディスプレイサーバーがWaylandに変わりましたが、ARTのLinux用バイナリーはWaylandに対応しておらずX org で動かす必要があります。Xorgに切り替えるのは簡単ですが、やはりWaylandで動かしたいという方もおられるかと思いま…

フリーのRaw現像ソフト 何を使ったら...?

先日、3年弱ぶりにRawTherapeeの公式リリースが出ました。また ART も1.17.2 がでており、 darktable はクリスマスに例年通り次期リリースが出ると思います。ちょうど3つのフリーのRaw現像ソフトの新バージョンリリースが出そろいますが、Raw現像をこれか…