省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

ART / RawTherapee

ARTの編集プレビュー画面表示 - ARTの基本編集操作

今回はARTの編集プレビュー画面のいくつかの機能について見ていきます。今回紹介する機能は、基本的にはRawTherapeeと共通です。 ■補正前 / 補正後を画面で比較しながら編集する プレビュー画面の左上に、補正前/後比較モードを切り替えるアイコンがあります…

もうすぐ ART 1.13 がリリースされます (→されました)

間もなく、ART バージョン 1.13 がリリースされます。新しい追加機能ですが、先日以下の記事で書いた通りです。なお以下の記事からちょっと翻訳を見直しています。 yasuo-ssi.hatenablog.com 他に、ダイナミックプロファイルの動作の若干の見直し、OM-1への…

トーン編集 darktable vs. ART

darktableのオンラインディスカッションに以下のような議論が出ていました。 discuss.pixls.us 4年ほど前にdarktableの開発チームに参加し、現在 Ver. 3以降のシーン参照ワークフローの設計を主導している Aurélien Pierre氏の「ベースカーブは良くない」と…

トーンカーブを使ってコントラストやトーンを調整する - ARTの基本編集操作

フリーソフトのRaw現像ソフトの中で世界的に最もユーザの多い darktable では、現在力を入れているシーン参照ワークフローにおいて、伝統的なトーンカーブの使用を推奨しなくなりました。トーンカーブで行っていたような調整はフィルミックRGBを使ったり、ト…

ARTの次期追加機能 - カラー/トーン補正の圧縮 & スムージングのノイズ追加モード 

現在ARTの最新開発版に2つの追加機能がつけられています。 一つは、カラー/トーン補正の圧縮 (原語 compression) スライダーです。 要は、ハイライトとシャドーの差の大きい画像においてその差を縮める機能です。 圧縮スライダー使用前 圧縮スライダー上昇後…

ARTの MacOS用バイナリーファイル

Mac OS版のバイナリーファイルが Ver. 1.5代しかない、ARTですが、ボランティアで1.12.1のバイナリーファイルを公開された方が現れました。以下のpixls.us のディスカッションに、ダウンロード先リンクが公開されています。 discuss.pixls.us 現在、Intel版…

ARTで露出を補正する - ARTの基本編集操作

今回は、ARTで撮った写真の露出を補正する方法です。と言っても難しくありません。すぐわかるかと思います。以下、今回補正する写真をARTに読み込んだところです。 オリジナルRawファイル まず、ハイライトクリッピングしていないか確認してみましょう。クリ…

ARTでホワイトバランスを調整する - ARTの基本編集操作

これから、比較的Raw現像に慣れていない方に向けて、ART / Another RawTherapee の基本編集操作を解説する記事を書いていきたいと思います。 まず写真編集の基本であるホワイトバランス調整です。以の図は、NikonのNEF形式のオリジナルファイルをARTで読み込…

GチャンネルへのRチャンネルのミキシングは様々なフィルムスキャン画像の色被り補正に使える!?

先日、マゼンタがかったネガフィルムスキャン画像の補正にチャンネルミキサーを使ってGチャンネルにRチャンネルの情報をミックスすると、結構補正ができるという記事を書きました。 ところが、どうやら微妙なマゼンタ被りに限らず、様々なフィルムスキャン画…

Tintをどう訳す? : 写真処理ソフトの翻訳語

ARTのホワイトバランスモジュールの下に「色偏差」tint というパラメータがあります。写真をマゼンタ寄りにするか、グリーン寄りにするかを調整するパラメータです。この色偏差という訳語は RawTherapeeの日本語版が採用していたものをそのまま受け継いだも…

マゼンタ (紫) がかったネガフィルムスキャン画像の補正

ネガカラーフィルムをスキャナでスキャンすると、フィルム、フィルムスキャナやドライバによっても異なりますが、全体にマゼンタ(紫)がかることがあります。以下のページでもそのような現象に出会って困っていると書かれておられる方がいるので、これはある…

ART 1.12.1での追加機能: 画像確認におけるマウスによる100%ズーム

ART 1.12.1 で追加された機能として、入力プロファイルに色順応変換オプションが追加されたということは既にお知らせしましたが、もう一つ追加機能がありました。ファイルブラウザ画面における画像確認タブ上の、一番下に1:1 (100%ズーム) 表示アイコンがあ…

ART ユーザーコマンドで「エクスプローラで表示」を追加する

ARTのオンラインディスカッションで、ARTでも、Lightroomの様に、Windows上で「エクスプローラーで表示 (Show in Explorer)」コマンドを追加してほしいという要望が上がっていました*1。これに対して、ユーザーコマンドで機能を追加すれば簡単にその機能が使…

間もなくART 1.12.1 がリリースされます (→されました)

近く、フリーのRaw現像ソフト、ARTが、Ver 1.12.1 にアップデートされる予定です。基本はバグフィックスですが、色順応変換(Chromatic Adaptation Transformation, CAT)機能が追加されるようです。→ 本日(2022.1.30)付でリリースされました。 カラーマネジメ…

ART / RawTherapee ユーザコマンド機能マニュアル

ART にはユーザコマンドという簡単なプラグイン機能があります。ARTの設定保存ディレクトリに簡単な実行命令を書いたテキストファイルを置くことで、ARTのファイルブラウザ上で、コンテキストメニューからユーザが指定した外部実行ファイルを使った命令を実…

ART現像例: 夜間撮影画像の補正

今回は Nikon のカメラを使って夜間に撮影した写真の ART による代替現像例をお示しします。Nikon D5500を使って撮影した元画像が下です。測光はマルチパターンを使用しています。また画像は Rawファイルに含まれる Jpegプレビューイメージです。つまりカメ…

逆光でハイライト/シャドウの差が大きく暗い写真を ART 対数トーンマッピング機能で補正する

先日、Nikon D5500 明暗差の大きいシーンの写真補正テストという記事を公開しましたが、ARTの対数トーンマッピングは、逆光の明暗差の大きいシーンの補正用途にかなり使いやすいです。従来の写真編集ソフトでは、このような補正に、シャドウ/ハイライト機能…

Nikon D5500 明暗差の大きいシーンの写真補正テスト (NX Studio & ART)

本記事の要点 ・Nikon D5500 (および、おそらく他のNikon 一眼、ミラーレスカメラも) で明暗差の大きいシーンを撮るときは、ハイライト域、またはそれに準ずる明度域を基準にスポット測光 & 露出補正して撮影する。マルチパターン測光はハイライト域がクリッ…

画像処理ソフトのプレビューと出力ファイルのカラーが一致しない!? - カラーマネジメントの基本の"キ"

Raw現像処理ソフトや画像編集処理ソフトでのㇷ゚レビューと、出力ファイルの色合いが異なるという経験はないでしょうか? 例えばこんなことを書いているブログがありました。 shudooooooon.com この中で RawTherapeeはㇷ゚レビューと出力画像の色合いがかなり…

ARTはappimageでもインストール可能

昨日、Linux (ubuntu)におけるARTのインストール情報を書きましたが、Linux へは、 appimageを使ったインストールも可能です。そもそも appimage とは何かということは、以下のサイトの記事をご覧ください。 www.virment.com ARTのappimage は、Alex Worosch…

ARTをLinux (Ubuntu) にインストールする

Linux ユーザになって2日が経ちました。Linux (Ubuntu) をインストールしてみて、darktable や GIMP に比べて ART のLinuxへのインストールが初心者にとって難しいことが分かりました。darktable や GIMP は、Ubuntuのソフトウェアセンターのような機能から…

ART バージョン1.12がリリース

クリスマスに向けてリリースされると言っていた ART のバージョン 1.12ですが、やや遅れて先ほど (現地時間では昨日[2021.12.27]付け) リリースされました。トーンカーブあたりの仕様調整に手間取っておられたようです。またインターフェースの変更も急遽追…

D5500で撮影した写真の空の色をARTを使って印象に近づける - ART / RawTherapee現像 Tips

D5500を使って撮影していると、空の色が印象色よりかなり薄めに出ることが多いような気がしていました。特に木陰から空を写したり、山間から空を写すとその傾向が強いと思っていました。そこで、そのような写真を ART を使って、印象にある空の色に近づけて…

まもなく、ART 1.12がリリースされます

11月末にアップデートが出たばかりのARTですが、クリスマスに向けて、間もなくバージョン1.12が出ます。前回はRaw読み込みエンジンの変更という大規模な改良がありましたが、今回はソフトプルーフィング周りのマイナーな改良のみです。 なお次回のバージョン…

ARTでの、英語 - 日本語 - 韓国語 写真編集用語の翻訳語について

ART1.11安定版から正式に韓国語翻訳が付きましたが、実は私が翻訳をつけました。日本語と韓国語は似ていますし、また写真用語の日本語からの影響も大きいだろうと思って翻訳してみたのですが、なかなか良い経験でした。韓国の方で気づく方がいらっしゃるかど…

ART / RawTherapee 1.11~1.12 翻訳ファイルサポートページ

お知らせ [Ver. 1.13 は現在のところ翻訳の修正はありません] [2022.3.9に1.12.1用訂正ファイルを公開しました] ART 1.12のバージョンアップが、2021.12.27に行われました。1.11バージョンアップから間隔もあまり空いていませんので、バージョン 1.12の翻訳…

ART で Lightroom カラーグレーディング相当の編集を行う - ART / RawTherapee 編集 Tips

Lightroomでは2020年の秋ごろから「カラーグレーディング」という機能を搭載しています。それまで明暗別色補正と称していた機能を拡充したもののようです。 blog.adobe.com 因みに同じ補正 (補整と言うべきか) でも correction と grading の違いは、correct…

ART / RawTherapeeのSigma Foveon機 X3F Rawファイルへの対応状況 - DP2 Merrill編

2021.11.30に ART がVer. 1.11に上がったことにより、Rawファイル読み込みエンジンが DCRaw から LibRawに変更になりました。これにより対応カメラ Rawファイルの幅が大幅に広がっています。 Sigma Foveon機のX3Fファイルも、今まではDP2 Merrillまでは読み…

ART / RawTherapee 機能紹介 - ヒストグラム等ピクセル分布を表示するグラフについて

本家RawTherapeeとARTの違う点として、画素分布グラフが拡充されている点があります。実はdarktableがRawTherapeeより画素分布グラフが増えているので、そこから取り入れているのではないかと思います。 まず、おなじみヒストグラムから... これは基本的には…

ART 1.11 がリリースになりました

ART / Another Raw Therapee のバージョン1.11がリリースになりました。 ダウンロードは以下のサイトから。 bitbucket.org 主なバージョンアップとして、トーンカーブにニュートラルモードの新設、およびシャープニングの方法に、カスタムRLデコンボリューシ…